小説 | ナノ

 05

さっきの二人の騎士は月子ちゃんの前に出てきた。
そして私と一樹をにらんだ。
おーっと・・一樹も只ならぬ状況だと気付いたみたいだ。
・・いや、この目はこの子たちを知ってる感じだぞ。

私は三人の行く末を見守ろうと思ったが
たぶん茶髪の男の子が怒っているのは私が引き起こした出来事の所為だろう。
と感じ、事態の収集を引き受けるため、一樹と彼ら三人の間に立った。


「な・・陽・・っ!」


「一樹は黙って。
はじめまして、東月くん、七海くん。」


私がそう口を開くと、彼らはびっくりしていた。
新入生の名前を知れるのは生徒会だからこそ。
私たちに学校で知らないことはない。


「・・はじめまして」「はじめまして」


東月くんは警戒するように私を見て、
七海くんは東月くんのその雰囲気を感じ取ったのだろう。
とてもおびえている。まるで子猫だ。


「そんな警戒しなくていいよ。
私も月子ちゃんのことを守りたいと思ってるひとりだし。
でも連れ出したのは悪かったと思う。ごめんなさいね」


東月くんは私の言葉を聞いて眉を顰めた。
どうやら敵意をむき出す相手じゃないと感じたらしい。
そして七海くんはどうやら落ち着いてきたようだ。


「七海くんも、ごめんね。
息が上がってる。月子ちゃんを探してたんでしょ?」


そう聞くと七海くんは私の発言に戸惑っていた。
月子ちゃんだけは苦笑いをしていた。
でもあと数分で入学式だというのにこのアクシデント。
なんとか収集しなくちゃ。


「今はなんだからあとでお話しない?
これからみんなの門出を祝う入学式が行われるんだし。
自己紹介もそのときにするよ」


「月子、行こう」


私の言葉を聞かなかったことにしようとしてる東月くん。
それでもあとで必ず来てくれると思う。七海くんも。
彼らは優しい子たちだから。

一樹は未だに私の後ろにいた。
去った彼らと、私を交互に見ていた。


「・・一樹。」


私が名前を呼ぶと一樹は「なんだ?」と聞いた。
よかった。いつもの声音だ。これなら大丈夫。


「今日もびしっと決めてきてね!」


と彼に振り向いていうと彼は微笑んで「おう!」といった。
私はそれを確認して、うん!と頷いた。


そんな出来事を一部始終みていた生徒がひとり、いた。
それが彼と私の、一方的な彼の最初のコンタクトだった。






「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -