張り巡らされた罠 [ 3 ]

森の奥にあるナツとハッピーの家。
リサーナはここに来るのも久しぶりだと感慨深げに周りを見渡しながら扉を開けた。


「ナツー?いるーー?」

「…リサーナ。何しに来たんだ?」


うつ伏せの状態でハンモックに横たわっていたナツは、声に驚いて顔を上げ、
リサーナを確認するとすぐにハンモックから飛び降りてリサーナの前に駆け寄った。


「ちょっと話があるの。…それにしても、うーん、思っていたよりきれいね。…ナツ、掃除するようになったんだ?」

「いや………これは、ルーシィが、」
「へぇー。ルーシィが家に来て掃除してくれるんだ。」

「そうじゃなくて…掃除の仕方を教えてやるとか言って掃除させられて…。
ちゃんときれいにしとけってうるせぇんだよ。」

「なにそれ?…あはははは!…でも掃除を覚えれてよかったじゃない、…ね!」

「定期的に来て、ちゃんとやってるかチェックされんだぜ?……めんどくせぇ。
仕返しするためにも綺麗にしといてもらわないとってブツブツ言ってるし。なんか、怪しいし、気色悪ぃんだよ。」

「でも、うれしいんでしょ?彼女が家に来てくれるようになって。」

「…………リサーナ何しにきたんだ?」

「…ルーシィ、困ってたよ?」

「………………。」



「皆に色々聞いてまわって調べてみたんだけど、二人が付き合ってるって噂の出所がね、わかったの……。」

「!!……そ、そうなのか。」

「それは……ナツだった。噂を広めて、ルーシィが恋人を作れないようにしてたんだね。」

「!?……そ…そ…それ………ルーシィに…言った…?」

「あ、本当にそうだったんだ。」




「…………ハイ!??」




「そうかーー、じゃあ毎日家に通うのも他に男を寄せ付けないようにするため?だよね?」

「…っ!」

「何回怒られても不法侵入し続けるのはルーシィの自分への警戒心を薄れさせていくため?
なんでもないフリして続ければ、ナツだから仕方ないって思ってくれそうだもんねー?」

「!??…な、な…ななな、なに言って」

「でも、毎日帰ったらすぐにお風呂に入るルーシィの習性を逆手にとって、
先にお風呂に入ったり、着替え中を見計らって部屋に入るのは……私、許せないな〜。
そうやって、ルーシィを女扱いしてないって思わせて……ルーシィに触れても警戒されないようにしたかったんだろうけど?」

「………う………ち、ちが………」

「この掃除も………どうやったかわからないけど巧みに策略を巡らして行った結果でしょ?
あ、そういえばー…ハッピーが、ルーシィがおもしろいって話で………尾行が下手すぎるって言ってたわね。
家まで付いてきて、ナツと二人で笑いそうになるのを我慢するのが大変だったって。
………ナツ?これって関係ある?不法侵入し続けた甲斐あったのかな?」

「……な、なんなんだよ!?言いたいことあるならハッキリ言えよリサーナ!!!」

「………………。」

「………………。」

「…うーーーん、こうまで素直に全部顔に出されると……もう聞くことないかも。」

「っんな!?…いいい言っとくけど、違うからな!ぜ、全部リサーナの考えすぎだ!!
オレだって……皆が勝手に思い込んでて…迷惑してんだっ!!」

「はいはい。じゃあなんで私にも嘘ついたの?それにルーシィに誤解解けって言われても拒否してたじゃない?」

「へ!?…ど、どこでそれを……………」

「………………ナツ?」

「……は、………はい……?」

「ナツはウブだからルーシィに真っ向から言えないんだろうけど…駆け引きもできないからこうゆうやり方しかできないのかもしれないけど……」

「…え…い、いや、えっと………」

「知らない間にナツの陰謀に取り囲まれていくルーシィがかわいそうだと思わないの!?
こんなやり方、…………………せこい!!!男らしくない!!!」

「………せ、せこいって!?」

「そんなんじゃ、母ちゃんと子供をちゃんと守れる父ちゃんには…なれないわよ!!………とゆうか私とハッピーを捨てるの!??」

「……は!??……い、い、いつの話してんだよ!」

「私とハッピーを捨てるんなら、それなりの覚悟で挑みなさいよ!!男らしくハッキリと、ルーシィに伝えなさい!!
そうじゃないと………母ちゃんは、ここから出て行かないんだからね!!離婚してあげないんだからーーー!」

「な……な…なに…言ってんだよリサーナ……」

「ほら!!早く!!今すぐ行きなさい!!……ほら!!早く!!」

「ちょ……ちょっと待て……落ち着けリサーナ!!!」


リサーナは、ナツのマフラーを勢い良く掴んだかと思うと無理矢理に外に引き摺り出そうと引っ張リ始める。
ナツはリサーナに引っ張られながら、この状況を打開するにはどうすればいいんだと考えあぐねていた。



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