薫る、きみの想い
名探偵コナン
相手)安室透
ヒロインは安室の恋人。東都大学医学部三年生。21歳。


安室side

休日の昼下がり、うららかな日差しが降り注ぎ、部屋の中を暖かく照らしている。

『いい匂い!何を作っているの?』

キッチンに立って何かを作り始めた僕に、爽やかな笑顔で近づいて来る※※。キッチン台にはボウルや泡立て器、小麦粉や卵が並んでいる。これらを見れば、だいたい想像がつくと思いますが。

「ケーキです」

僕は、牛乳を冷蔵庫から出しながら応えた。

『ポアロで出してるもの?』

「いえ、新作です。以前海外へ行った時に、カフェで食べたケーキが凄く美味しかったんですよ。それを、アレンジしてみようかと思いまして」

『舌の記憶だけで作れてしまうだなんて、やっぱり透くんは凄いわ。尊敬する!』

「スポンジ部分に潰したバナナと、フランボワーズを入れて少し工夫してみようと思ってるんです。出来上がったものは試作品として、ポアロの店長、毛利先生や蘭さん達に感想を聞かせてもらおうと」

やんわりと笑いながら、秤の上に乗せたボウルに小麦粉を入れていく。

『あのう、透くん。私も食べたいかなぁ……』

「ああ、もちろん※※の分もありますよ。僕は食べるより作る方が好きなので、※※に食べてもらえるのは嬉しいです」

『ありがとう!透くんが作るものって、何でも美味しいから凄く楽しみ!私にも出来る事があったら言ってね』

※※は僕の手つきを、興味津々覗き込みながら言う。

「じゃあ※※、足りなくなったら困るのでスーパーで、生クリームをもうひとつ買ってきてもらえますか?」

『任せて!その代わり、ケーキは2個食べさせてね!』

「いいですよ。※※は特別です。2個でも3個でも食べてください」

僕は、粉ふるいを動かす手を止めずに答えた。
君は本当に、可愛い人ですね。※※の幸せそうな表情(かお)を見られるのなら、僕は何だってこなしてみますよ。

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