お散歩してた森の中で、さっき降り始めたばかりの雨は、あっという間にざあざあ降りになった。木の下にいたからぬれてはいないけど、これじゃすぐには帰れない。朝は晴れてたのに……。
わたしは大きなため息をついて、水たまりがぴちゃぴちゃするのを見ていた。一人で来るんじゃなかったな、と思ったけど、今日はみんな乱闘に行ったんだからしょうがない。
晴れた日のお散歩は昔から好きだったけど、この世界に来てカービィに飛び方を教わってからはもっと好きになった。だから一人でも出かけてきた。
もう一度ため息をついてから、落ち込んだ気持ちに気づいて、元気になれるように歌を歌おうと思った。
それからしばらくして、突然空から明るい声が降ってきた。
「プリン!」
顔を上げると、赤いパラソルを持ったカービィだった。ふわりと降りてきたカービィに思わず駆け寄った。
「カービィ!迎えにきてくれたの?」
「うん、プリンの歌が聞こえたからすぐわかったよ」
見つかってよかったってにっこり笑ったカービィを見たら、なんだか気持ちが明るくなった。雨はまだ降ってるのに、もう晴れちゃったみたい。
カービィにありがとうって言ったら、カービィはみんな心配してるよって、パラソルを差し出してくれた。
「ぼく、プリンの歌好きなんだ。また歌ってよ!」
カービィのために歌いながら歩く帰り道は、晴れた日の一人のお散歩より楽しかった。カービィがきてくれてよかった。
「あっ……。プリン、晴れてきたよ!」
パラソルをたたんだカービィと一緒に空を見上げたら、雲のすきまから太陽の光が見えた。
「ねぇ、カービィ」
振り向いたカービィに、にっこり笑って言う。
「今度晴れたら、一緒にお散歩しない?」
「うん!また歌ってよ!」
そう言って笑ってくれたカービィを見たら、なんだか虹を見つけたときみたいな気持ちになった。
雨に歌えば
二人だけの、約束。
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