「かわせるか?」
セフィロスの放つ剣圧がジタンを襲う。しかしジタンはそれを軽く回避し、距離を詰める。わたしはジタンの戦いを見守りながら、攻撃魔法の詠唱を続けた。
身軽なジタンの攻撃力の低さを補うのが魔導師であるわたしの役目。そしてわたしの長い詠唱時間を稼いでくれるのがジタン。わたしたちはそうやって効率よく素材を集めていた。
しかしそこに現れたのは、カオスの召喚した銀髪の英雄セフィロス。彼は戦いを好むようで、わたしたち二人を相手に余裕の笑みで刀を振るった。
そして、あと少しで魔法が発動するという時、セフィロスがジタンの攻撃を凪払い、こちらに向かって剣圧を放った。
詠唱妨害……!
しかし、ジタンのくれた時間を無駄にする訳にはいかない。それに、ジタンは絶対にわたしを守ってくれる。わたしは目を閉じて、呪文の最後の一節を唱えた。
目を開けると、セフィロスはいなくなっていた。彼のことだ。きっと魔法の爆発に巻き込まれる前に退避したのだろう。ダガーをしまって駆け寄ってきたジタンは、なんだか少し怒っているようだった。
「チェリカ!なんで避けなかったんだよ?オレが間に合わなかったらどうする気だったんだ!」
「だって、ジタンは間に合うでしょう?」
ジタンはいつもわたしを守ってくれるから。だから信じられる。安心して、自分にできることに集中できる。
「でも、心配するだろ……!」
少し頬を染めたジタンがそっぽを向いた。わたしは微笑んで、少し血の滲んだジタンの腕をとる。
「わたしはいつもジタンのこと心配してるよ。でも、ジタンは負けないから。だから大丈夫」
グローブを外し、さっきの戦闘でできた切り傷に回復魔法をかける。傷が塞がって綺麗になった腕をそっと撫でた。
「チェリカ……」
ジタンはぱちりとまばたきして、それから照れくさそうに笑った。ありがとう、そう囁いたジタンは、そっとわたしの手を握った。
「チェリカの存在が、オレを支えてくれてるんだ。チェリカを守りたいって気持ちが、オレの強さになる」
ジタンの言葉がくすぐったくて、わたしはジタンの手をぎゅっと握り返した。
「……ありがと」
わたしの小さな声にジタンは頷いて、帰ろうぜ、と歩き出した。繋いだままの手が温かくて、自然と笑みが浮かんだ。
コンチェルト
わたしも(オレも)あなたと(きみと)同じくらい、あなたのことを(きみのことを)想っているよ。
←
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -