オレの彼女――チェリカが大晦日から元旦にかけて神社でお手伝いをするらしい。付き合って初めての新年だから、一緒に年越ししたかったけれど、こればかりは仕方がない。オレが会いに行くと言えば、チェリカは
「いつも年明けてすぐは人が多いからー、来るなら明け方前?……ってそれはさすがに無理だよね」
と来なくていい、なんて言っていた。しかしもちろん、このオレが彼女の巫女さん姿を見逃す訳がない。
大晦日の夕方、神社に行く前にオレの家に寄ってくれたチェリカは、ジタンも明日はバイトでしょ?と気遣ってくれたが、
「チェリカのためなら徹夜くらいなんでもないさ」
オレはそう言って、寝ててもいいと言うチェリカを送り出した。
もうすぐ新しい年が始まる……といっても神社で仕事をする側ではあまり実感が無い。綺麗に並べた御札や御守りをもう一度確認して、わたしはぼんやりと辺りを見回した。この神社はそう大きいものではないのだが、やはり初詣に来る人は多い。いつもこんな感じだったっけ、と思い出していると、カウントダウンが始まった。あぁ、そうそうこんな感じで……。
「あれ?」
一つだけ、去年までと違うもの――見慣れた金髪が目に入った。ジタンだ。
「チェリカ!」
「え!ジタン!?」
「やっぱり似合うなー!可愛い!」
「あ、ありがと……じゃなくて!なんで今来るの!相手してあげられないよ?」
来てくれたのは嬉しいけど、わたしの仕事はこれからが本番だ。そんな状況じゃ話もできないし……。
「いいんだよ」
「……え?」
ジタンがウィンクして、わたしが首を傾げた瞬間。日付が変わった音がした。
「今年一番にチェリカに会いたかったんだ。明けましておめでとう」
「……!」
一気に顔が熱くなった。かろうじておめでとうとだけ返すと、
「じゃ、また後で来るから。がんばれよ」
そう言ってジタンは手を振り、走っていってしまった。
それからすぐ参拝客がやってきて、わたしは忙しく動き回ることになったけれど、心はなんだかふわふわしていた。
あったかい一年になりそう
それから、人がほとんど来なくなった頃……ジタンは本当に戻って来た。
←
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -