「あ、ジタンおはよー」
寝起きはいつも不機嫌…というか無表情なチェリカが今朝は珍しく笑顔だった。
「おはよ、チェリカ。今日は機嫌いいみたいだな。いい夢でもみたのかい?」
「うんっ。後で話すから聞いてね」
「もちろんさ」
いい夢を見たら真っ先に報告してくれる、そんなことでもオレは彼女にとって特別なんだ、と舞い上がってしまう。
バッツににやけ顔をからかわれつつも朝食を済ませ、オレは庭に置いてあるベンチに腰掛けた。天気は今日も晴れ。絶好のデート日和だ。えっとチェリカの今日のスケジュールは確か……。
お待たせ、と現れた彼女はやっぱり幸せそうで、オレの隣にちょこんと座ってにこにこしていた。
寝起きの悪いチェリカを朝から笑顔にできるその夢が、なんだかうらやましく思えた。朝のチェリカは大抵のことには無反応で、笑顔にするなんてのは至難の業だ。尻尾がへたりと下がるのを感じながらも、彼女には笑顔を向ける。
「で、どんな夢だったんだい?」
「えへへー。あのね、ジタンが夢に出てきたの!」
「……オレが?」
彼女を笑顔にさせていたのが、自分の出てきた夢。そう思うと嬉しいような照れくさいような……妙に心が浮ついた。下がっていた尻尾がふわりといつもより高く上がった。
そんなオレを知ってか知らずか彼女は話を続ける。
「そうなの!それでね、一緒に花がたくさんあるところにいて……すっごくきれいだったの!のばらが咲いてたかは覚えてないんだけど、ほんとに二人で行けたらいいのにって思ったんだよ!」
手をふわふわと動かして熱弁をふるう彼女が愛おしくて、頬が緩む。それからオレはすっと立ち上がり、彼女の正面に立った。
「それなら、今から二人で行くか!」
「ほんと!?」
「ああ!……お手をどうぞ、お姫さま」
ひざまずいて手を差し出せば、彼女はくすくす笑いながらもそっと手を重ねてくれた。
「ジタンならそう言ってくれると思ってた!ありがと」
そう言った彼女の笑顔はきっと、オレだけのものだ。
優しい夢だけ見てて
きみが望むなら、どんな夢も現実にする。
Title by クロエ
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