「えええ!そんな!ほんとに……?」
「嘘をついてどうするんですか。残念ながら本当ですよ。あなたのシュークリームは音也が聖川さんの妹さんにあげてしまったそうです」
「ああああ……」
驚愕の表情を浮かべたかと思うと、崩れ落ちるように落胆する彼女。かける言葉が見つからない。
サオトメート帰りに私の部屋に寄った彼女は、一旦冷蔵庫に預けたシュークリームをそのまま忘れて帰ってしまった。それを運が悪いことに急の来客に慌てた音也が持って行ってしまったのだ。
「そんなに落ち込まなくても……。シュークリームなら音也が今度奢りますから」
「うう……仕方ないこととはいえ、理不尽に楽しみにしていたおやつを奪われた心の傷は深いんだよ……。あとわたしも真依ちゃんに会いたかった。そしてシュークリーム食べたかった……」
チェリカは私のシャツにしがみついて顔を伏せた。そっと頭を撫でて宥めるように言う。
「妹さんが、とても美味しかった、と喜んでいたそうですよ」
「うん。喜んでもらえたなら、まぁ、良かったけど……。あれ美味しいんだよね。メロンパンの方が人気みたいだけど、わたしはあっちの方が好きなんだ……。トキヤは食べたことある?」
未だ拗ねたような声の彼女にそっと苦笑する。
「ありませんけど……食べませんよ。私がカロリーを気にしているのは君も知っているでしょう」
「んー、トキヤが一緒に食べてくれたら機嫌直る」
「また君はそういうことを……」
思わずため息が漏れるが、ちらりと向けられる期待を含んだ視線をどうしても無視できない。
「仕方ありませんね」
「やった!じゃ、早く行こっ!」
笑ってぱっと離れ、私の手をとって駆け出す彼女に、私も釣られて笑顔になった。振り返った彼女は、先ほどの愁いが嘘のように明るい表情だった。
「一緒に食べると、もっと美味しいんだから!」
きみがまぶしい
お天気屋な彼女から、今日も目が離せない。
Title by クロエ
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