only girl1



「っ…はぁっ」

彼の中心を口に含んだまま、視線を上へ向ければ、頬は紅潮して潤んだ瞳で私を見つめるおあいてがいた。

大人しい彼が普段絶対に見せるはずのない表情。
これを見たのは私が初めて。
そう考えるだけで興奮した。

竿に浮き出た血管を舌先でそっとなぞれば、ピクンと跳ねる。
過去の誰のものよりも丁寧に彼の中心を愛していく。
エラに舌を這わせて強く吸い付けば、彼はぎゅっとシーツを握り締めた。
失われつつあった硬さが再び甦っていく。

愛しい男性のそんな様子に思わず目を細める。

大切な日だから。
彼には存分に愛し愛される事を楽しんで欲しかった。



「この間ね、ここのお店に行ってきたんだけどね…」

二人でソファに座り雑誌をみながら話しかけても、ぼんやりとしているおあいて。
今日は付き合い始めてからの初めてのお泊まりで、恋人のおあいてのアパートに来ていた。
二人でDVDを観たり、買い物に行って夕食を作った。
後片付けまですませて、まったりした時間を過ごそうと思ってたのに…

「ねぇ!おあいて!聞いてる!?」

「…あっ!うん!悪い…」

大きい声で呼べば返事はしてくれる。
けれども、何かがおかしい。
しかも、夜が更けていくにつれて段々と彼の口数が少なくなっていく。
もともと口数は多くないけれど、いつも相槌は返してくれるし、ちゃんと話を聞いてくれていた。
ところが、今はずっと考え事をしているみたいで心ここにあらずとなっていた。

「…おあいて、どうかしたの?さっきから変だよ?」

「…いや、何でもない」

それでも、煮え切らない彼の態度。
もやもやするそんな状態のまま、そろそろ寝る時刻となった。

「なまえ…あのさ…」

いざ、寝る段階になったところで、思い詰めた顔で見つめてくる君。

「俺…さ…初めてなんだ…」

申し訳なさそうに彼がそんな事を告白する。

「え…?何が?」

「だから…その…女の子と…エッチしたことなくて…」

俯きながら、もにょもにょと口ごもる彼。

「そうなの!?意外!」

確かに派手ではないけれど、整った顔立ちで優しいおあいてに彼女がいなかったのは不思議。

「あぁ。俺…母さんの看病とかもあったりとかで…全然彼女出来なくて…」

「…もしかして、それでさっきからずっと考え事してたの?」

「うん。言わなきゃいけないのはわかってたけど、言ったら引かれるんじゃないかって不安でさ…別れる事になったらどうしようって」

口数が少なくて地味で友達も少ないし、つまらない人間だとおあいては自分を揶揄する。

確かに20代でそれだと世間的には、恥ずかしいことかも知れない。
けれど、彼の生き方をその積み重ねてきた人生を知った私にはどうでもいい。

中途採用で入社したおあいてはうちの部署に配属された。
第一印象ははっきりいって特筆することは何もない。確かに、精悍な顔立ちだけれども、口数も少なくてなんだか地味な人だなぁと思った。

ただ、それだけ。

でも、ある日気付いた。

毎日毎日早くきて、皆に追い付こうと勉強している姿や、黙々と処理をしていく姿。
自分の仕事が終われば、誰から指示される事もなく、自分から申し出て他の人の仕事の手伝いをする姿。

この人、すごく努力家で実直な人なんだって。

「おあいて君!お疲れ様!」

彼の魅力に気付いた私は、とうとう帰り道に声をかけた。

「…お疲れ様」

一瞬驚いた顔をして、少し目を反らして私に言葉を返す。
そして、それをきっかけに段々と仲を深めて、一緒に飲んだりもする様になった。

「父親は小さい時に亡くなって、それからずっと母さんが一人で俺を育ててくれてたんだけど、その母さんも病気になってさ…去年亡くなったんだ」

付き合うようになってから、お互いの身の上話をしていた時に知った衝撃の事実。
お母様が亡くなった後に、うちの会社で働き始めたとのこと。
元々興味ないのかあまり遊ぶこともせずに、大切な人に献身的に尽くした彼の事がますます好きになった。

だってそうでしょう?
こんなに真面目で優しくて素敵な人に会ったことはなかったから。


「大丈夫、引くわけないじゃん」

彼の先程までの不自然な態度の原因が分かって安心した。そして、その心配を払拭する様に笑顔をみせる。

「 むしろ、私が初めてなら、こっちがプレッシャーだよ?
もし気持ち良くなかったら…」

「何言ってんだよ。そんな事ある訳ないから。俺はなまえと出来るだけで充分なんだからさ」

その告白の返事の代わりに、彼に抱き着いてキスをした。


そっと肩を押して、私をベッドへと寝かせるおあいて。

「服…」

「脱がせてくれる?」

彼が少し戸惑いながらも、私のパジャマのTシャツに手をかけた。
するするとTシャツ、ブラと脱がされていく。

「綺麗だ…」

露わになった私の身体を、初めてみる女性の身体をおあいては熱い視線を送る。

「触っていいよ?おあいての好きな様にして?」

そう言うと、胸に手を伸ばす。
そっと手をのせて、やわやわと揉み始める。

「気持ちいい…」

「…吸ったりとかしても大丈夫だよ?」

自分からこんな事言うのは恥ずかしいけど、もっと知って欲しかった。
その言葉通りにおあいては先端に吸い付く。

「ん…はぁっ…」

夢中で吸われて舌で転がされれば、気持ちよくて思わず鳴いてしまう。
演技でも何でもなくて、自然と漏れてしまう声だった。


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