Be mine1
「おあいて先輩〜!こっちで飲みましょうよ〜」
「OK!皆おいで〜!」
サークルの打ち上げで、後輩の女の子に囲まれてデレデレしてるおあいて。
何なんだアイツは…
この間、私に告白してきたくせに!
イライラしながらお酒のグラスを一気に空にする。
「なまえ先輩、隣いいですか?」
「うん、いいよ」
すると、丁度、後輩のおあいて2君が隣に移動してきた。
「先輩、何だか元気ないみたいですけど、大丈夫ですか?」
彼が心配そうに私の顔を覗きこむ。
「ん、大丈夫。ちょっと考え事してただけ」
ありがとうと私が微笑むと
「先輩、何か悩みとかあるなら言って下さいよ。僕が力になりますから!」
応えるようにおあいて2君が力強く笑う。
彼は真面目で、気配りもできて頼りがいがあってほんとに男らしい。しかも、高校の時から付き合ってる彼女と遠距離恋愛中で彼女一筋。
少し前に元カレと別れたのは向こうの浮気が原因だったから、本当に素敵だと思える。
やっぱ、付き合うならこういう男性がいいなぁなんて思ってると…
「なまえ〜!おあいて2〜!」
いきなり、私とおあいて2君の間におあいてが割り込んできた。
いつもよりも更に声が大きくて、顔が紅潮している。
あぁ、完全に酔っ払ってるな、これは。
そのまま私達の間に座り込んで、この3年間のサークルでの思い出を語り始める。
「うぅ、俺がぁリーダーを最後までできたのはぁ、副リーダーのなまえとぉ、2年の代表のおあいて2が支えてくれたからでぇ〜、ぐすっ…」
一人でペラペラと勝手に話をしていたかと思えば、突然、今までの自分の足跡を振り返りながら号泣し始めた。
「うん、分かった。分かった」
いつもの事だから、私は適当に相づちをうつけど、
「先輩、すごかったですよ!俺はほんとに尊敬してます!」
おあいて2君は真面目だから真剣に向き合ってる。
本当にいい漢だよ、おあいて2君。
…にしても、おあいては何なんだろう。
普段、女の子に対してヘラヘラしすぎだし、軽いんだよね。
真面目だし一生懸命なのはわかるけど、こんな風にすぐに泣きすぎだし。
「はい、家着いたよ。しっかりして!」
結局、その後、泥酔したおあいてを私とおあいて2君で彼のワンルームのマンションまで送る。
なんとか部屋まで運んだこの人をベッドに寝かせて、2人で帰ろうとした。
「なまえ〜、水ちょうだい!」
ところが、腕をつかまれて引き留められてしまった。
「あー、こりゃダメだわ」
「先輩…」
「おあいて2君、帰っていいよ?私が残るから。いつもの事だし」
「でも…」
「大丈夫!明日、彼女が来るんでしょ?だったら、帰って休んだ方がいいよ。私、ここから家近いし…」
「なまえ先輩、すいません」
こうして、申し訳なさそうに帰るおあいて2君を玄関まで見送り、介抱するために残った。
飲み会の後はよくこうして飲み過ぎたおあいての世話をしてるから特に問題はない。
まぁ、今日で引退の私達だから、それも最後になるけど。
何処か寂しい気持ちを抱きながら、いつもみたいにキッチンの冷蔵庫から取り出したミネラルウォーターのペットボトルを持って部屋へと戻る。
「気分はどう?大丈夫?」
ローテーブルにボトルを置いて、様子を伺おうと顔を近づける。
「なまえ、この間の返事聞かせてよ」
すると、そこにはいつの間に酔いが醒めたのか、真剣な顔をしたおあいてがいた。
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