▼ 突撃となりの晩ごはん編
「なんでいるのよ…」
今日は休みで久しぶりに友達と買い物して帰宅したら、なぜか家のなかに政宗と弓月がいた。
ワンルームの部屋で弓月はベッドで布団に入って爆睡していて、政宗は白いオーバーサイズのパーカーに黒のTシャツとグレーのスキニージーンズというラフな格好で日曜のお父さんの様にテレビの前で横になって頬杖をつきながら勝手に私のお気に入りの恋愛映画のDVDを観ていた。
「おぉ!帰ってきたか!この映画つまらなさすぎだろう!今度俺がオススメ持ってこようじゃないか!」
振り返って、いつものはきはきした大きな声で余計なお世話なことを提案してくる。
「…そんな事よりも、私に先に言うことあるんじゃないの?」
「君、今日は化粧が濃いな」
「じゃなくて!なんで家にいるのよ!どうやってはいったのよ!!」
そう、オートロックで一応セキュリティのしっかりしたマンションに住んでるはずなんですけど。
しかも、なんでそんな事を言われないといけないんだ。確かにあのホストクラブに行くのは会社帰りだから必然的にスーツになるけど、出かける時は人並みにメイクもするし自分なりにおしゃれな服も着るのだ。
「なぁ、早苗、これは何だと思う?」
なんて考えていると、目の前に唐突に差し出された政宗の手。
そこには見覚えのある鍵があった。
「…もしかして」
嫌な予感しかしない。
「そうだ、君の部屋の合鍵だ」
してやったりとイタズラ成功と言わんばかりにニヤニヤと歯を見せる政宗。
「この間、ここに弓月と君を送りに来ただろう?この物件に見覚えがあってな。確認したら、俺が所有している物件だったんだ」
「で、オーナーの政宗さんは合鍵をゲットして不法侵入したと」
「人聞きの悪い事を言うな。今日は政宗がオフだから二人で枕営業をしに来ただけだ」
渾身の皮肉に、爆弾発言を返してくるのは寝ていたはずの弓月の声。
ベッドに視線をやれば、私と政宗の騒ぎで目を覚ました奴がむくりと起き上がって、まだぼんやりと焦点の定まらない目で頭をいていた。
「はぁ!?そんなの頼んでないから!ほんと帰ってよ!」
「君、オーナーである俺によくそんな事が言えるなぁ」
「うっ…」
それを言われてしまったら、何も言えなくなる。
黙り込んだその隙に私の隣に音もなく近づいてきた弓月。ライトブルーのカッターシャツにチノパンという格好で、オフだけれども何となくお坊ちゃま感が拭えないのと、ぴょこんと後ろ髪が寝ぐせで跳ねているのがいつもよりも幼くみせる。
「本当に素直で可愛いなぁ、お前は。だから俺達みたいな悪どい男が寄ってきてしまうんだ」
そうして、弓月は嬉しそうに顔を寄せてきた。
そのまま、視界が奴の整った顔で一杯になったかと思えば、いきなりチュッとかわいい音を立ててキスをしてきた。
いつの間にか抱きしめてきて、まるでペットの犬や猫にするような軽いキスを何度も何度もしてくる。
「何すんのよ!?」
「いいじゃないか。大人しく枕営業されろ」
「んんっ…!?」
顔が離れた隙に抵抗を試みるけれど、薄ら笑いを浮かべた自称見習いホストは効果なし。
今度はいきなり舌を捩じ込んで深く口づけてきた。互いの唇の繋ぎ目から舌の絡む卑猥な音が漏れる。
「ったく、美味しいとこだけとって準備は俺かよ…」
なんて愚痴をこぼす政宗の声も言葉とは裏腹にどこか楽しそうで、私の服に手をかけた。
「んっ…も…無理…」
さっきから弓月が後ろから私を抱き込み、正面には政宗がいて彼に向かって大きく両足を広げさせられている。
私は全てを剥がされて、奴らは上半身だけをさらしている。
「ほら、ねだらないと欲しいものは貰えないぞ?」
弓月による耳許での甘い囁きは私を誘惑して、そのまま耳たぶを舐めては優しく噛んでくる。
「やだぁ…」
否定の言葉を呟くけど、自分自身でも蕩けきっているのをわかってしまうくらい説得力のないものだった。
「我慢はよくないぞ?君。気持ちよくなりたいんだろ?」
政宗がニヤニヤとからかうように顔を覗き込む。
二人に散々指で弄ばれてぐちゃぐちゃになってるソコに、奴が露わにした自分の先端を何度も押し付けてられていた。
昂ったそれは熱く、触れられるだけで粘膜が溶けてしまいそうになる。
「ほら早く。いつまでも終わらないぜ?」
「も…政宗…」
何よりもイヤらしいのは、先だけを私の花びらに浅くいれては少し擦って抜いてしまうというなんともじれったい行為を繰り返してくる事だった。
お陰で腰の奥の方が期待に膨らみドロリと蜜を溢れさせる。けれども肝心なアレが来ないため子宮が疼いてたまらない。
「観念して、政宗に早く言え」
「やぁっ…それダメ!」
政宗が先端を粘膜に突き立て少し動かした瞬間に、弓月がその上の敏感な蕾を指でくにくにと捏ねる。
「あぁっ…!?」
もう少しで達するというところで、二人からの刺激は止んでしまい不発に終わる。
「おっと危ない。イッてしまうとこだったな…」
「でも、きゅっと締まって気持ちよかったぜ?」
のんきな二人の会話は間近に聞こえるはずなのに、視界が涙でぼやけてるからどこか遠くで繰り広げられている感覚。
このもどかしさに耐えられず身体が痙攣し、もう限界だと悲鳴を上げていた。
「…政宗」
「ん…?」
私が小さな声で奴を呼ぶと、白々しく顔を覗き込んでくる憎たらしいホスト。
「政宗…おくまでいれて…」
「君は入れるだけでいいのか?」
「無論、それだけでいい訳ないだろ?」
政宗に耳許で普段の清々する位のあけすけさからは想像できない吐息混じりの少し掠れた声で色気たっぷりに囁かれ、弓月に胸の先端を摘ままれると、残ってた理性は吹っ飛んでしまう。
「やだぁ…いっぱいついてよぉ…イカせて…」
お願いだからと涙を溢しながら政宗を見つめると、それはそれは嬉しそうに口角を上げた。
「ごほうびにたくさんイカせてやる…」
そう目を細めて、ぐっと私の花びらをかき分けて自身を全て私の中に収める。
「はぁっ…!あぁっ…!」
「すげぇ…突く度にきつく締まってくる」
待ち望んだ快感に身体が震える。
「政宗…もっと…!」
「ヤバい、マジでかわいいな…」
政宗が激しく腰を打ち付けてくると、待ち望んだ刺激に頭は真っ白になってしまい本能のままに求めてしまった。
その後、もちろん弓月にもしつこく何度もおねだりさせられて、記憶がなくなる位に二人にイカされてしまった。
「なぁ、早苗。起きてくれよ」
政宗の声で目を覚ませば、ベッドに寝ていた。
どうやら、失神してしまい運ばれていたらしい。
裸ではあるものの、汗やその他もろもろはきちんと清められていた。
「ん…」
「…運動したら腹が減っちまったんだよ」
「俺もだ。食事はないのか?」
私をすでに着替えて元通りになっている政宗と弓月が覗き込んでくる。
「…あんた達、ご飯まで要求するの?」
イカされて体力が残っていないへろへろな私はもう勘弁してほしいと訴えたが、"ご飯食べるまで帰らない"という変なストライキにあってしまい、結局、部屋着のジャージを着てから泣く泣くこの二人に夕飯を作るはめになってしまった。
「…はい、どうぞ」
「「いただきます!」」
二人分に盛り付けした即席チャーハンを待ち構えている奴らの前にそれぞれ差し出せば、目を輝かせてすごい勢いでスプーンで掻き込み始める。
ついでに、簡単な中華風のスープもつけてしまった時点でこいつらに甘いと自分でも呆れてしまう。
「おお!うまいぞ!」
「毎日俺のために食事を作ってほしい」
嬉しそうに私の部屋でテーブルを囲み、子供みたいにご飯を頬張りながら口々に感想を述べる二人を見て途方に暮れる。
こいつらは一体何をしに来たのだろう…
しかもこれを機に、奴らは私の部屋にも度々現れるようになってしまった。
2017.3.25
天野屋 遥か
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