a man in love



「ただいま。なまえちゃん、いい子にしてた?」

「おかえりなさい」

おあいて君が仕事から帰って来た。
この異常な生活が始まって、すでに1ヶ月が経っていた。
真っ白なマンションの一室でひたすら彼を待つだけの毎日。
いつもおあいて君は急いで帰ってきて、そして、私の姿を見つけると心底安心した様に笑顔をみせるのだった。

彼はきっと、私が逃げていないか不安なのだろう。
けれど、そんな事はできなかった。
マンションの11階で窓も開かない。
鍵も外側からかける特殊なものでどうしようもない。
彼の部屋だけが私の世界になりつつあった。


「寝る前にいつものしよっか?」

お風呂上がりに彼はいつも私にセクシーな下着を着けさせる。
真っ白で、透けたレースの様々なベビードールを日替わりで着せてはベッドに座らせられた。

そして優しく頬にキスを落とすのは始まりの合図。

「なまえちゃん…ほんと可愛い…」

真っ白なパジャマを着た同僚も向かい合うように正面に座り、自身を取り出して扱き始めた。
眉間に皺を寄せて、端正な顔を快感に歪めるおあいて君。
かろうじてショーツは身につけているけれど、後は頼りないレースのキャミソールだけだから恥ずかしくて胸を隠す。
かつての同期はうっとりとそんな私を見つめたまま、息を荒げて肉棒に白くて長い指を這わせる。
怒張し、猛々しく直下立つその先端から透明な液体が分泌されて彼の指を濡らしていた。
私を求めて一心不乱に自慰を行う姿は余りにも扇情的で子宮が反応する。

「おあいて君…」

「なまえ…」

段々と指の速度が速くなり、とうとう呻き声と共に彼が大きく脈打ち精液が放出される。
眼下に広がるその淫猥な光景に目が離せなくなり、腰の中からトロリと蜜が溢れる感覚を覚えた。

「なまえちゃんの事、見てるだけでこんなに出ちゃった」

嬉しそうにいつものかわいい笑窪を見せる彼。
その掌一杯に付着している純白の欲望を見せつけられて、加えて卑猥な雄の匂いが鼻を掠めるともう何も考えられなくなる。

「んっ…」

身体が勝手に反応して、その放たれた白濁に舌を伸ばしてしまう。
苦くて生臭いそれを夢中で舐めて、疼きを抑えるために身体に吸収しようとする。
密度の濃いそれをピチャピチャと動物の様に舌を鳴らして飲み込み、指も口の中に含んで舐め上げた。

「なまえちゃん、俺のそんなにおいしい?」

意地悪な質問には恥ずかしくて言葉をつまらせてしまうけれど、惚けて彼の顔を見つめている自分の表情が全てで、主は満足げにそれを見つめていた。そして、後始末をした後は、私を胸に納めて眠りにつく。

ただ、それだけだった。

毎日毎日、同じことの繰り返し。

そう、彼は私と身体を繋ごうとしないのだ。

濃厚な男の匂いを目の当たりにさせるくせに、それ以上を求めないこの人の意図が読めなかった。

燻った女の本能は徐々に私の中に蓄積されていく。
子宮が彼を欲しがり、我慢の限界を迎えていることが明白だった。


いつもみたいに全てが終わった後、彼に後ろから抱き締められて二人でベッドに沈む。

「なんで…こんな事するの?」

ぼんやりと遠慮がちに灯るルームライトの淡いオレンジの光を見つめながら、とうとうずっと抱えていた疑問を尋ねた。

「困ったな…その質問は答えづらいなぁ…」

少し恥ずかしそうなおあいて君の声。

「俺さ、普段は女の子には手を出すのは早い方なんだけど…なまえちゃんだけはそんな事したくないんだ。大切にしたくってさ。俺みたいズルくて汚い男が抱いていいものじゃないんだ」

顔を私の肩に押し付けて切なく呟く。
それはまるで恋人同士の甘いスキンシップの様で。

「なまえちゃんは綺麗で俺なんかには汚せないよ…」

髪の毛に口づけを落としながら、優しく耳元で囁く彼。
甘い吐息にぞくりと背中に快感が走り、腰がピクリと反応する。

「…もう無理」

とうとう自分から、下着の紐に手をかけた。

「なまえちゃん…?」

「おあいて君…お願い…我慢できないの…」

そして、腰を抱えている彼の手を自分の中心へと導く。そっと指先を花びらに触らせるとそれだけでくちゅりと淫らな音を立てる。

「…すごい」

「いつもこんな風になってたの。もう貴方の白いのを舐めるだけじゃダメ…」

驚いているおあいて君に向き直り、自らキスをした。その首に両腕を回して胸を押し付けて誘うように。
もはや、彼が私を監禁しているとかそんな事実はどうでもよかった。
自ら彼の許へと堕ちていく。

「お願い…私の事…一杯汚して?
    二人でいっぱい気持ちよくなろ…?」

そう懇願した瞬間、彼は覆い被さり性急に中に侵入する。
ようやく待ち望んだ刺激に私は溺れた。


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