school days | ナノ





▼ miss their tips

「はぁ!?なんで私が花園委員なのよ!?」

「そんなののぞみが休んだから悪いんだろ」

そう、食あたりで休んでる間に委員会決めがあったらしく、勝手に決められてしまった。
生の牡蠣をたらふく食べてしまった自分を今更ながら呪う。

「まぁ、俺も海人も一緒だし
楽しくやろうぜ。」

「げっ!?あんた達も一緒なの!?」

ただでさえ花園委員で落ち込んでるのに、銀と海人と一緒とは…


花園委員とは、その名の通り学校の花壇の世話をする委員。
週1回、朝昼放課後と水やり当番があり、月2回草むしりまである。
はっきり言って、超面倒くさい委員。
しかも、名前も恥ずかしいし…


「じゃあ、これから委員会を始めます。」

今日のテーマは当番決め。
銀、私、海人と3人並んで教室の一番後ろの席に座っていた。

「のぞみ、何曜日にするんだよ?」

銀がこっちを見る。

「う〜ん、火曜日かな」

と、私が言えば

「じゃあ、俺も」

「俺も」

銀と海人が真似する。

「えっ!?でも、定員2人でしょ?」

私が驚くと

「海人、別の日にずらせよ」

「え〜!?やだよ!
俺も火曜がいい〜!」

2人が私を挟んで睨み合う。

「譲らないとお前の秘密バラすぞ!」

「俺に秘密なんてないし〜!
むしろ、銀はあるよね?身長とか…」

海人がニヤッと意地悪に笑うと

「それ以上言うなよぉ!」

銀が相方の頬をつねる。

…前から私も怪しいと思ってたんだよね。
スニーカーの時とスリッパの時で明らかに身長違うんだもん。
やっぱあのスニーカーはインソールが入ってたんだ。

なんて思ってたら、2人が目の前で小競り合いを繰り広げ始めた。

委員会の皆の注目が集まる。
委員はクラスでも大人しいグループの人達が多いから、皆怯えている。

「…2人とも、静かにしてくれないかなぁ?」

委員長が恐る恐る声をかけるも、2人は無視。
2人で互いの頬っぺたをつねり合っている。

「いっへぇよ!はなへ〜!」
(訳:痛ってぇよ!離せ〜!)

「ふるはぃ、ひんこしょはなへよ〜!」
(訳:うるさい、銀こそ離せよ〜!)

2人がジタバタ暴れる。
海人が銀の手を引き剥がした瞬間、その手が私の頭に当たった。

「痛っ…!」

も〜我慢できない!!

「静かにしなさいよ!迷惑でしょ!」

ぶちギレた私はパンパンと2人の頭を叩く。
強烈な打撃にアホ2人は茫然としていた。

「銀と海人の2人は火曜日!
私は水曜に水やり当番します!」

委員長に告げると、彼は安堵の表情を浮かべて委員会の進行を再開した。

「「えぇ〜!?」」

2人ががっくりと肩を落としていたが、
こんなバカ共は無視!!

落ち込む2人を尻目に、私は当番表を確認する。

「ふ〜ん、水曜は…1年の桂 賢二君と一緒かぁ」

どんな子か確認しようとしたけど、
残念ながら今日は休みらしい。


miss their tips
ーこんなはずじゃなかったのにー

(なんで海人と水やり当番なんだよ!)

(それはこっちのセリフだよ〜!
せっかくのぞみと当番一緒にできるチャンスだったのに!)

(あんた達うるさい!)

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