「もー、悪かったって言ってんじゃん。」
「知らねえ。さいあく。」

イくときは可愛かったくせに、すぐにぷいと拗ねてしまった土方は、雫をティッシュでふき取る俺をものすごーく冷やかな眼で見ていた。

「それ、どうすんだ?」
「コレ?かばんにつkあべしっ!」
「ふっざけんな!捨てろ!いますぐ!」
「なんでえ?あ、もしかして恥ずかしいのかな?土方くんのお尻に入ってたんだもんねえ、コレ」
「普通に考えて汚ねえだろーが!」

バイオレンスな土方くんに殴られちゃったけど、コレは記念として大事にとっておくとしよう。かばんにつけるかどうかは、今後考えるとして。

「ん…あれ?」
「なんだ?」
「これさあ、気づかなかったんだけど資料には確か6種類って書いてあった気が。」
「ふうん。」
「コレ今5個しかないよね?」
「知らん!」
「ちょっと、ちゃんと数えてよ。」
「知らねえよ!自分のケツに入ってたもん直視できるか!死ね!」

くそー。また殴られた。
まあ、1個足りない気がするけど、いっか。

「そういえば明日はエンディングの撮影だっけ?」
「あ!そうじゃねえか…クソ、腹下したらどうすんだ。」
「だいじょーぶだよ、土方はいつも銀さんのせーえき飲んdあだだだだだ!」
「それ以上言ったら殺す…」
「はいはいはいはいすいませんでした…!」

あーあ、銀さんの下で鳴いてるときはあんなに可愛いのにねえ。
でも、明日も会えるなんて幸せすぎるぞ!



「土方、好きだよ。」
「…っ」

眼を合わせないのは、照れてる証拠。
真っ赤に染まった顔も、全部大好きだから。
君のすべてが見たいんだよ。

「また明日、ね。」


意味深な笑みはどう取られたか。
まあ、どっちにしたってお前を赤面させた時点で俺の勝ちだって。
でしょ?




***

 おまけ


「はい、じゃあここで坂田さん振り返ってください。」
「こう?」
「そうです、みなさんを見渡す感じで。」

あは。土方くんと眼ぇ合っちゃった!
赤くなってる!かーわいい!

俺の後に主要メンバーが勢ぞろいで付いてくるシーン。
土方くんとの距離は決して近いとは言えないけれど、その姿はばっちり見通せる位置で。
いまのリハーサルでは、しっかり前方を見ていた土方くんとちょーど眼が合ってしまったのです。ぐふふ。


「それじゃあ本番行きまーす。」


『朝に舞う夢は希望に満ち溢れ』
『星に願う思いは日に日に増える』
『優しさをまたひとかけら手に…』


…てアレ?アレエエエエエエ?
土方くん、眼そらしてる!?
クソーなんだよ!なんでそらしちゃうのー!?

澄ました顔でそっぽを向く土方に内心ひどくショックを受けていると、カメラの回っていないところで土方がにやりとこちらを見て笑った。
ちくしょー、アイツ、昨日のお返しとか思ってんだろ!ばーか!



「坂田さん、何かあったんですか…?なんかいろんな表情してましたけど。」

カットになったあとに、神楽ちゃんが聞いてきた。
うん、いや…こっちの話だから大丈夫ですとは言ったけど。



「お疲れ様でーす。」

そのあと俺だけのシーンの撮影があって、ようやく本日のお仕事は終了。すべて撮り終わって、スタッフに声をかけてまわる俺に珍しく土方が近寄ってきた。
なんだ?また嫌がらせでもしに来たのかよー。

「なあ、話があるんだけど。」
「え、な、何?」

俺の肩に手を乗せると、急に顔を近づけてくる土方。
セットの陰であまり見えないとはいえ、それは大胆すぎますって土方くうん…

「あのさ、」
「…うん。」

「『銀魂』、映画化決定だって。」
「え、え?えええええええええええええええ!?
 うそお!?ほんとに!?」
「嘘じゃねーよ…」

思わず両手をひっつかんだ俺にたじろぎながら土方が言う。

「まじで?まじで映画化?」
「ああ、来年のGWだって。忙しくなるな。」
「ええ!ほんとなんだ!?すげええええ!」

いきなりの事実に興奮しまくる俺に、土方は苦笑いを浮かべる。
嬉しくてどうしようもなくてがばっと抱きつくと、意外にも土方はぎゅうと抱きしめ返してくれた。



「ぎん、おめでと。」

(神さまありがとおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!)

夢だった映画の主演と、可愛すぎる俺の恋人に、ありったけの感謝をこめて。



おわり!



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足りない1個は山崎です。二人がかりでやったのに、ネタのようにザキだけ一回も出なかったwww
書き始めたときはまだ映画の話はなかったので「まだ映画は〜云々」って書いたのに、
執筆途中に映画化が決定してしまって焦りました…(ネ、ネタが潰れたああ\(^q^)/)
最後のおまけを足すことで、映画化おめでと的な感じにもなって結果的には良かった…かな^^

こんなんですが、いおたんへ10000hitおめでとのプレゼント!



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