「あら、お帰り●●!!マイスウィートハニィ!!!」

「あれ!?なんかテンションがさらにハイになってない!?」

「まぁまぁ☆レン君は?」




自販機行ったよー、と答え教室を冷静に見てみた。
うん、冷静に見てみた。


「テンション高い理由分かったよ…」



たくさんのお客様、もとい人間。
これで優勝間違いなしね、といっている理子の声が遠くに感じた。



ごった返しになっている教室がぐるりと回り、一人一人がスローモーションで流れていった。
だからこんな人多いの苦手なの!!
酔うわ、回るわで大変なことになりかねない。


でも倒れるのはいや!
足の感覚がなくなった頃にはまた浮遊感が私を掬い上げていた。



「●●!!」



遠くで聞こえるレンの声に私は何かを掴もうともがく。
早く、早く戻らないと、倒れちゃ駄目。



「●●…ああ…、…●●●●●●…!」

「理子!?」



委員長の声だ…。
理子、これ対した事ないただの一人酔い+貧血ですから。
グイ、と寝かけの自身をたたき起こした。


ザワザワと少し人だかりができたギャラリーは、私が目覚めると同時に安心してくれたのか散って行った。
入り口では迷惑でしょこれ。



「●●、大丈夫か?」

「うん。ちょっと人酔いしただけだし」

「ん、なら、いい。ところで、あいつどうしたんだ?」



…理子。
レンが言い終える前に理子はきつく私に抱きついてきた。



「ごめんね、ただの貧血だから…」

「うん、うん…。ごめんね、私…」



震える声が異常にいとしく感じて、私もぎゅうと抱きしめた。
深呼吸の音が私の耳を掠めた。




「よっし、ごめんね●●!!もう大丈夫?」

「相変わらず人には酔うけどね。…てゆうか乳を揉むなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!?」

「いやん!経るもんじゃあるまい☆」

「経るわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


騒ぎながら教室、もといメイド&執事喫茶へと足を踏み入れた。




□回る廻る周る□


(…今のなんだ)
(理子…)





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