もしかして、騙した?
「なにが面白いのよミクオ」
「...漫画みたいじゃん、髪型」
ぶふ、と吹き出し笑いする綺麗な顔立ちの子は私をみて、「現実でそんな髪型有り得んだね」と一言。
「...だってハク様カッコいいから真似したくて、って昨日一緒にDVD見てたから分かるでしょーがこの気持ち!」
「イヤ、わかんない。それならオレ千尋やろっか?」
完璧に馬鹿にしてるよね。 もうこの際神隠しにあっちまえよ。
オカッパstyleの何が悪いってんだこんにゃろーめ。
「あー駄目だミクオのせいで鬱入った」
「知らないし。なら千と千尋の○隠し観んなよ」
「ばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばかばか...カバ?」
「はいはい」
飽きれた風に肩を押され、強制的に座る態勢の私はされるがままでさらに機嫌がよろしくない。
別にいいし、また観るし。 てか今DVDかけるし。
コト、と目の前に置かれたマグカップ。 湯気を泳がせるそれは温かい蜂蜜レモン入り。
ぼー、とそれを眺めていたら「飲めば?」という声と一緒に髪を梳くような感覚がした。
「...なにしてますの?」
「髪を梳いてますの」
「いやいや何ノリ良く返しちゃってんのかね」
「可愛いよ」
...は? え。千尋がですか。
イヤ、確かに可愛いよ? 大粒の涙零しながら、ハク様特製のおにぎり食べる姿とかさ。
「マスターの...○○の髪型可愛いって言ってんの」
「...ツンデレ?」
「殴られたいか」
いつの間にか髪を梳く手は止んでいて、代わりに後ろから抱き締められた。
「蜂蜜レモンありがとね」
「...どーいたしまして」
ちゅ、と私の髪にキスを落とすミクオ。
その後の言葉と言ったら、
▽もしかして、騙した?
(この髪、○○の匂いがしない...) (...げ) (ウィッグかコノヤロォォォォォォォォォォォォッ!!!)
だって髪を触る仲はHするより深い仲なんでしょ?
(この位しなきゃミクオは私に触らないじゃない) (イヤ、下心で髪触らせるのって深い仲なわけ?) (...抱き締めてくれたら収穫は有り)
20100301
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