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「...あのね、あのウィルスにはただ成長させるための機能が付いてるわけじゃない」
突然何を言い出すのかと思ったらまた訳の分からない事。
「理性ぶっ飛ぶなら知ってるけど」
それはもう痛い位この身を持って痛感してますから。
「うん。それは副作用なんだよ。言っただろ?特殊な媚薬だって」
何、それ。
まず媚薬がある事にビックリだし、特殊っていう言葉自体難題で高尚過ぎて分からない。
「ちゃんと説明して、お願い」
自分で理解出来ない私は頼む事しか出来ない。
真剣な顔するお兄ちゃんを久々に見た。
「あんまり深くは話せないけどね...。あのウィルスは一週間である物を見つける為のもの。多分無理だけど、やってみる価値はあるし。それに成長事態が副作用だからね」
「何言ってんのよ。ある物って何?成長が副作用?なんなのよそれ...。危ないんじゃないの?!レンを騙したの?!いきなりなんなのよ...冗談やめ」
「冗談でこんな事言えないよ。...レンは抱えてるものがあるんだ。あの身体に」
どういう事? 成長剤ウィルスは結局何なのよ...。 レンが抱えてる? 分からない。 私には分からないよ...
"何でか雨の日は歌わせてくんねぇんだよ"
...レン?
「雨が...雨が関係してるの...?」
「何でそう思った?」
少し低めの声に引き下がりそうになった。
「今、頭にレンの声が、前に聞いた言葉が浮かんだの。雨の日は歌わせてくれないって」
確かそんな風な事を言ってた。
「...俺が近くに置いてる皆は訳ありなんだ。
酷い扱いをされたり、一度改造されてたり、ずっとインストールして貰えなかったり、、引き離されたり、...
雨の日に捨てられたり」
「なん...」
あのレンが? レンが捨てられた? いつも五月蠅い位元気で口悪くて、影なんて見せないのに...? ムカつくケド捨てるまで至らないよ!
「そ、それは実体化してないでって事だよね...?」
「もちろん」
「よかっ、」
「でも、いくら機械と言ってもまったく傷付かないと思ったら大間違いだ」
物にだって者と同じように心があるもんなんだよ、と言うお兄ちゃんの瞳は今まで見た事がないくらい澄んでいた。
そんな瞳されたら何もかも言い辛く感じるじゃない。
「私はレンが何を抱えてるなんて分からないよ?」
「ああ。だから○○に折り入ってお願いがある」
「何...?」
「もう少しレンを頼みたいんだ。今まで通りに喧嘩したり笑ったりありのままの○○で」
「...レンは覚えてるの?その、捨てられた事」
「...覚えてないよ」
悲痛そうに、苦しそうに表情を歪める。
......私、。
パン、と両方のほっぺたを叩く。
「え、○○!?」
地味に痛いなコレ。
...うん。
「じゃあ私も知らない」
「はい?」
「今日の夜ご飯なんなわけ?こんなデカいお屋敷なんだからもちろんフルコースだよね?今流行りのイケメン執事が作る感じで」
「...そっか。○○らしい」
「なんか言った?」
「なんでも。夕食は俺が作るんだからフルコースはありえないよ」
あ...れ? 今の聞き間違い?
「りぴぃとあふたみぃ」
「フルコースはありえないよ?」
「違う!!その前!」
凄く聞いてはいけない、ましてや言ってはいけない事言ってるよね?
「俺が作るんだから?」
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