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『マスター!!○○様ですよー!!ついでに見た目は大人、頭脳はガキの黄色もいます』





「カイ兄、パクりはよくねぇんじゃないの?やっぱりなんにも変わってないな。その脳みその小ささは」



カイト...相変わらず言い声!!
動画でしか聞いた事無いけど。
直接聞いたら惚れちゃうわ。


...でさ、なんでこうも腹黒が多いの?
コレってアレ?
腹黒祭りじゃー!!!
みたいな?
あ、違うらしい。
もっと早く言ってよ。

恥ずかしいじゃないか。



「今誰と会話してた?」



「心を読むな。乙女のトップシークレットなんだから。そんな話は野暮って言うのよレン君?」


そんな会話を繰り広げていたら、ギイィと大きな門が私達を受け入れる態勢になった。


「お兄ちゃんが入れってさ」


「言ってないと思うけど」


そこは、うんとかそうだね☆とか言っとけばいいのよ。
久々に来るから私だって緊張してんの!!
この非現実的現実に!!


「いざ殴り込み!!」
「まだ言ってんのかよ」




土日の間に学園の生徒がレンの事を忘れてくれたらどれだけいいか。
なんか意味不明なウィルスのせいで私はしばらく視線の嵐を食らう事は約束されてんだからね?


玄関までの長い距離を歩く。
そういえば初めてこの家に連れて来てもらった時お城みたい、て言うのと何にもない場所程度にしか感じてなかった。
今は賑やかみたいだけどね!!




「...長い、ね」

「慣れたらそんな事ないと思う」


「頑張るぜぃ!!!」

「何キャラだよ!?」




シュ!シュ!と殴る仕草をしているとポスと大きな手の中に納まった。


「初めまして、○○様。カイトと申します」



紳士のように迎えてくれたカイトは掴んでいた私の手の甲にちゅ、とキスをした。



あれ?
やっぱりイメージと違う?


「あーえっと、王子様?私は姫じゃありません。あとヘタレカイトは何処ですか?」



すると私が変な事でも言ったかのようにカイトは笑いだした。

なんだよちくしょう。カッコいいなおい。
マジ惚れちゃうよ。



「貴女様は姫君みたいなものですよ。残念ながらオレはヘタレではありませんが」



と言う顔は妖艶かつ黒くて不覚にもカァと熱が顔に集まった。

普段なら姫って寒!!!
とか言うタイプな私だけどこのカイトが言うとシャレにならない。


「カイ兄悪いけどそいつ俺のマスターなんだよね」



グイと引っ張られ、カイトの前から移動してレンの後ろに。



「おや、そうなんですか?その割りには敬意を払ってないみたいですけど」


「敬意を払う必要が無いからだよバカイト」




気が付いたらレンはカイトと正面を向き合っていて何やら楽しく会話してるみたいだった。

いきなりキィィと音がしたかと思ったらお兄ちゃんが笑いながら近付いてきた。


「あははは!!やっぱり可愛いレンもいいけど、口悪い方がリンと双子って感じが増すね」



「マスター!?」


「久し振りー。ってお兄ちゃん気付いてたの!?いつから!?」



私より酷くビックリしているレンはこの際放置プレイを決め込む事にした。

だっていつも何考えてるか分かんないお兄ちゃんがそんな事に気付くなんて思ってもみなかった。



「割りと最初からだよ。家でレンが一番まともで可愛かったから俺も乗ってたんだけどね」


あははは、と笑うお兄ちゃんに悪気はない。

ただ可愛いものが好きなだけでまたそこが罪深い。


てゆうかコレがまともなわけ?
ありえない!!!




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