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レンだけが気掛かり。
お願い道に迷って!! つーか、バナナ買って上げるから来ないで!!
神様はあんまり信じてないけど、取りあえず祈ってみる。 するとポケットの中の携帯が震えた。
と同時にチャイムが鳴る。 あぁ、神様!!! ありがとう!!
礼をさっさと済し教室の端っこに縮こまった。
「もしもしレン!?」
『出るの遅ぇ』
「今どの辺?まだ家だって言え」
『なんでだよ!!今は、』
いきなりざわめく廊下。 かなり嫌な予感。 ...大丈夫、大丈夫よ。
今はお昼の時間だからきっと購買のパンの取り合いでもしてるんだ。
「おーい、レン?」
『あ、』
何か話そうとするレン越しから、女の子の声。
『何してるんですかー?』
「レンくーん?何してるんですかー」
『モデル!?』
「背が小さかったらモデルにはなれませーん」
『カッコいいー!!どうしてあんな子いるの?』
「......」
『○○...!!助け、ろ...』
ブツ、と繋いでいた電話が途切れる。 向かう先は廊下。 黄色い声が聞こえる所。
理子がいないといいけど...!
階段の近くに女子の塊。 そしてたまに見える金色の髪。
「レン」
「○○!!」
ワォ。 また視線が...! 痛い痛い痛い。 勘弁してよ、もう。
堪えながら女子の群れからレンを引っ張りだすと、
「え、え、え?誰?」
背ェ高ッ!? モデル!?
「なんで成長してんの!?しかもなんで服はだけてんの?」
「ん?あー、コレ?マスターの家に行ったらウィルス改造して成長剤作っててさ。それ見せたくて来たのもある」
「ありえない、お兄ちゃんありえないって!!」
この際、ウィルスのなんちゃらには関わらない方がよさそう。
...クソ、私より綺麗な肌しやがって。
「お前今違う事考えてただろ」
「バレた?...ってそんな話したいんじゃないし!!どうして学校来ちゃったの...。てゆうかなんで入れたの...」
全身の力が抜けて行きそう。 でも、此所で気を失ってられない。
「場所変えるから付いて来て」
「え?マジで?俺半裸なんだけど」
「あんたより私の立場の方が大切なのよ」
今は理子がいないからまだ切り抜けられる。
昼休みの屋上は絶好の場所だ。 だから人が多いんだけど、そういう所には結構穴場がある。
「だからってなんで給水タンクの上なんだよ!!」
「だって扉の真上なんて誰も来ないし。で?どうして学校に入れたわけ?」
レンに話してるんだけど、レンがレンに見えないから少し戸惑う。
いつもの生意気なのがカッコよく見えるのはウィルスマジックだ。
「マスターが学校の理事長に電話入れといてくれたから」
「お兄ちゃんってさ、何者?」
「理事長は友達らしいけど」
なんで友達になれんのよ!! 私見た事ないよ? この学園の理事長。
「マジで血繋がってないかも」
「ありえるな。ああ、それと弁当。感謝しろよな。お礼は身体で示せ」
「か、身体!?」
ななな何言ってんのコイツ!!
「夜飯にバナナ料理作ったりバナナ風呂したりバナナのお菓子作ったり。...またなんか妄想したわけ?」
ニヤニヤするレンは確実に確信犯なわけで。
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