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夜23時過ぎ。


「じゃあ先にお風呂入るね」


「じゃあ俺が洗ってあげ」


「TVでも見てなね」

だんだん扱いに慣れて来た気がします。


やっぱり学校が始まると色々と怠いな。
もともと1人が好きだからね。

ちゃぷ、と湯船に足を入れる。
まだまだ初秋で微妙な気温だから半身浴。
冬は寒過ぎて肩まで浸らなくちゃ駄目なタイプです。
聞いてないとか言わねぇで下さい。

30分程して上がると、




TVはラブシーン真っ最中でした。



「えー、と。変えていい?」


「ダメ」




-金曜ドラマ-




『出てくってどうして?』

『だって私光貴のお荷物になってるんだもん...!!ごめんね、今までありがとう...』

ガシ

『...あのさ、いい加減にしてくんない?』

『え...?ちょ、離してよ!』


『俺の話もちゃんと聞けよ!なんで樹里は人の話聞かねーで突っ走るわけ?...俺、樹里が邪魔だなんて一回も言った事ないし思った事もないよ!!』
『そんなの嘘だよ...』

『泣かないでよ...』
『だって最近ずっと素っ気なかったし...え?』

ドサ..

『指輪、どうやって渡そうかなってずっと考えてた。結局こんな押し倒した感じになっちゃったけど』

『っく...わ、私側にいてひっく...い、いの...?』


『樹里がいいんだよ』

ピッ!!



「ちょ、何すんだよ馬鹿○○!!」



「これはアダルトな大人が見る物です!!てゆうかこれマジでメロドラマ?笑える番組の間違いでしょ!」



これ以上先はダメ、絶対!!
あーんなゲロ甘なセリフ吐く奴に限って浮気とかすんのよ多分。
しかもあの雰囲気はヤバい。
キスのその先があるわ。
しかも夜中枠だし。





「アダルトな大人ってあの程度なら今の高校生なら普通なんじゃないの?」


「普通が私には分かんねぇから」



「ふーん...」


ドサ...

急に世界がクルッと回って視界には端正な顔のレンと天井。




「じゃあ、こんなのもダメなわけ?」
「な、にすんのよ...!!」



急にドラマの展開が私に降りかかって来た感じになって、頭が上手く回転しない。


いや、もともとしてないんですけど。


私はレンが好き。
目の前のレンじゃないのは確か。


だけど、ドキドキ鼓動が止まない。
低い声は心臓に悪い、なんて初めて知った。


両手を固定されて身動きが出来なくて怖い、なんて言うのも初めて知った。


だんだんと近付くレンを見ないようにと目を固くて瞑った。




ペロ、
とほっぺに生温いものが触れた...!?




「ッ!!?」




「なーんてね。キスされると思ったわけ?本当馬鹿○○だな」


「は...?」




「○○がTV消すから悪い。今度したらこれじゃ済まさないからな...?」


こ、怖いッッ!!!


腹黒い笑みを久々に見るのも、心臓に悪いみたいです。

どうかお兄ちゃん、この悪魔を連れ帰って下さい。



□感化□



(続き分かんねぇし)
(だからあれはアダルトな大人が)
(また押し倒されたいわけ?)
((笑顔が怖い!))




20090127


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