2
朝目が覚めると同時にカーテンを引く音が耳を通り抜けた。 久々に外は雨で、頭上にいるレンは少し不機嫌だった。
「おはよー...」
「はよ。...お腹すいた、気がする」
時計を見ると11時過ぎ。 空がどんよりしてるからまだ朝方かと思ったのに...!
「ごめんねー今から作る」
「うん」
いつものように毒つく気配は全く無くむしろ逆。 心なしか顔が暗いのは気のせい?
「ご飯作ってないの怒ってる?」
「違う。雨が嫌い。嫌な事思い出すから」
「嫌な事?...それって聞いてもいい話?」
レンが話したくないなら聞かない。 話したくない事を私が聞く権利はないから。
「マスター命令だって言ったら話すのになんでマスターの権限使わねぇの?」
「へ?だってレンとは対等のつもりだし」
実際こんなに人間に近いとマスターも何もアンドロイドだって事すら忘れるし。
「変なヤツ。まぁ、嫌な事っていうか雨の日に限って調教してくんねーんだよ。俺たちボーカロイドは歌う事が生きがいなのにさ。しかも退屈な雨の日に調教しないってありえねぇ。一日無駄」
「ちょ、調教!?」
そんな14、5歳のあどけない子に、あ、間違えた。 コイツあどけなくないわ。
「調教ってのは歌声を調節する事だけど?変な事考えるとかやっぱり変態だな」
「あ、そうなの?てゆうか真の変態に言われると腹立つな。それにレンがお兄ちゃんに不満あるなんて思わなかった」
「別に。マスターの不満ってそれだけだし。○○より不満ねぇしな」
「あーはいはい。ご飯作るから座ってて」
...ん? これってさ、遠回しに調教とやらをしろって言われてる?
どうしよう...
と、取りあえず朝昼兼用のご飯作りを!
- 22 -
[*前] | [次#]
|