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朝目が覚めると同時にカーテンを引く音が耳を通り抜けた。
久々に外は雨で、頭上にいるレンは少し不機嫌だった。



「おはよー...」


「はよ。...お腹すいた、気がする」


時計を見ると11時過ぎ。
空がどんよりしてるからまだ朝方かと思ったのに...!



「ごめんねー今から作る」


「うん」


いつものように毒つく気配は全く無くむしろ逆。
心なしか顔が暗いのは気のせい?




「ご飯作ってないの怒ってる?」


「違う。雨が嫌い。嫌な事思い出すから」



「嫌な事?...それって聞いてもいい話?」




レンが話したくないなら聞かない。
話したくない事を私が聞く権利はないから。




「マスター命令だって言ったら話すのになんでマスターの権限使わねぇの?」


「へ?だってレンとは対等のつもりだし」



実際こんなに人間に近いとマスターも何もアンドロイドだって事すら忘れるし。



「変なヤツ。まぁ、嫌な事っていうか雨の日に限って調教してくんねーんだよ。俺たちボーカロイドは歌う事が生きがいなのにさ。しかも退屈な雨の日に調教しないってありえねぇ。一日無駄」


「ちょ、調教!?」



そんな14、5歳のあどけない子に、あ、間違えた。
コイツあどけなくないわ。



「調教ってのは歌声を調節する事だけど?変な事考えるとかやっぱり変態だな」



「あ、そうなの?てゆうか真の変態に言われると腹立つな。それにレンがお兄ちゃんに不満あるなんて思わなかった」



「別に。マスターの不満ってそれだけだし。○○より不満ねぇしな」


「あーはいはい。ご飯作るから座ってて」




...ん?
これってさ、遠回しに調教とやらをしろって言われてる?

どうしよう...

と、取りあえず朝昼兼用のご飯作りを!




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