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ガララ、と教室の扉を開けるともう学園祭の準備に取り掛かっていた。



なんだか自分との温度差を激しく感じる。

















「お、みんな頑張ってるわねー!何せ明日は本番、たくさんのお客さんが来るからね!!」




教室に入ると昨日みた教室とは思えないほど装飾が進んでて本当に執事やメイドが出てきても可笑しくない感じ。





「…本当凄いね」





「当たり前でしょ!プロに設計頼んであるんだから!!ね、佐藤!」







「ぇ…プロっていうか…従兄弟がそういう関係の、デザイナーだから…」







おぉ、佐藤君。
久々に見た気がするけど特有の雰囲気は変わってないね。





委員長も慌しく動き回ってるあたり今日はとっても大変な1日みたい。
私も何か手伝える事ないのかな。





「あの、理子、私、」








「○○はそこに座ってて!…お願いよ、明日は頑張ってもらわなくちゃなんだから☆」





「そうそう、それにね裏方以外の人たちには今日はゆっくり休んでもらうんだよ。明日と明後日、それと日曜日まで学園祭はあるからね。理子ちょっと」






「わかったわ。じゃあそういう事だからおとなしくね!」






「…うん」






理子を呼びに来たのか直ぐに連れてどこかに行ってしまった。
こんなに沢山の人が動き回る中で、ぽつんと座ってるのはどうも居心地が悪い。


外、行っかな。
気分転換のついでにちょっと近くのコンビニでジュースでも買いに行こう。
理子と委員長、それと少し多めにお菓子でも買ったらみんなと食べられるかな。



学校に着いて直ぐに出るのはなんだかおかしいけど、何せ居心地が悪すぎるから。



さっさと坂道を下り、コンビニに入る。





何かいいもんあるかな…コンビニはあんまり好きじゃないけど色々揃うから便利。
取り合えず、ミルクティーとお菓子と、理子はバナナジュースが好きなんだっけ。

…確かお昼にいつも買ってたし。
なんだかなぁ。

こうなんてゆうかいつも考えてるみたいじゃん私。
バナナ=レン、みたいな。





「…ほんと、無力にも程がある」







「○○姉!!こんなところにいたんすか!!」





背後から勢いよく呼ばれ一瞬肩がはねる。
この声とこの喋り方は…






「リン?」




「そうっすよ!買い物っすか?ごめんだけどそれ後にして欲しいっす!!」






いつもの冷めた感じの話し方ではなく、少し焦った感じが私の不安をつつく。
言われたとおり何も買わずに外に出ると、リンがうずくまった状態で待っていてくれた。








「リン、待たせてごめんね」



「大丈夫。あの、マスターから連絡来てるっすか?」





「連絡?来てないけど…」




携帯を開いても着信は入って折らず、10時ピッタリを知らせるディスプレイが表示される。



立ち上がったリンは唇をきゅ、と噛んで私の目をまっすぐ見た。








「…私から説明する。○○姉、レンが…























消えた…っ!!」











息が詰まる感覚はコレで何度目?



そう自分に問いかけても答えが戻ってくるはずもなく、








ただ、









私の足は行くあてもなく走り出した。












□アイヌの黒百合□








((レンが、今、私の世界なんだ))





だから、いつも考える。




next=act36.


20090326


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