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風が吹き抜ける坂道。
昨日あんなに大雨だったのに、そんな事をしれっと忘れて晴天。
ちょっとムカつく。
っていうのが素直な感想。





学校にたどり着くにはこの長くて大きな坂道を上がりきらなくてはいけない。
寒さが身に染みるのは言うまでも無いです。




はっきり言うと面倒。
てゆうかなんでこんな坂の上に建てたのよ。




お陰で私のマンションから丸見えなんだからね。
夏休みだって、冬休みだって見るたびに休みの感覚失うんだから!!





なんて事は口に出さない。
こんな通学路で1人話してたら、怪しい人ってみられるかただの変人だし。


あれ?どっちも一緒じゃね?とかそんな事は突っ込まないで。


私もそれは一緒ぽいな、とか思ってるんだから。







って私誰と話してんのよ!!














「あーもー私は変態か!!」




瞬間、たくさんの登校中の生徒が私の方を向く。







…も、もしかしてやっちゃった?
視線がズバズバと私に食い込んで、ちょっと、いや…かなり痛いんですが!!
やめて!


私が変人なの認めるから視線をこの青い空へと向けてくれませんか。








ビュウ、と何処からか葉っぱが足元に落ちてきた。


風?





と、地響き…?






ズダダダダダダダダダダ、とありえない音が私に段々と近づいてきてこう叫んだ。

叫ぶっていうかこれシャウト?









「○○!」







確かに私の名前は○○だけどシャウトされながらだと自分の名前に聞こえない。





「今日も素晴らしく可愛いわね、私の○○!!」











ゴーっと凄まじい風が吹いたなと後ろを向くと理子が尋常じゃないスピードで私に突進してきてた。






「や、怖っ!!う、受け止め切れないからね!!」







ぎゃァァァァァァァァ!?
怖いぃ!!
誰だ猪突猛進なんて言葉作ったのは!!

イノシシよりヤバいのいるじゃんか!!






「はい、そこまで」





「委員長!!」







突如、静止の声がかかったかと思いきや委員長が理子の首根っこを捕まえていた。
…まさかあの理子のこんな姿が見れる日が来るなんて。
なかなかやるな委員長。





「やっだ、離しなさい!!私は今から○○に愛をぶつけに行くのよ!!」






「いやいや、そんな事したら●●死んじゃうからな?」





理子の愛はもう沢山もらってるよ。
だから突進はしてこないで!
そんでもってマジ死んじゃうよ!!








「ねぇ、なんとか言っ、














…あー、なんでもない」








自然と斜め上に向けた視線は直ぐに元の位置の戻る。




…何言ってんのよ私。






この晴れた空も、この坂道も、理子も委員長も普通。
これが日常で普通。



そう、普通過ぎる。



私は普通って言葉がどうも好きになれない。
天才と馬鹿も、善と悪も、これは両極端。
普通って言葉は一般化し過ぎてるからあんまり考えないけど、普通が一番難しい。

天才と馬鹿の間って何?
善と悪の間って偽善者なの?







…わかんない。


私がそう思うだけかも知れないし。







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