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ぼー、とベッドの上に植えついたかのように留まる私。
リビングに移動した皆は大きな話し声でお酒やら、お菓子やら、各自持ってきたものを堪能してるみたい。
声が聞こえるだけだからよく分からないけど。 気を使ってくれたのか変な言葉はかけずに1人にさせてくれた。
なによりも今私には脳内の整理が大切だと思うの。
でも、難しい事を聞くのも考えるのも苦手な私は出来ればそれはしたくない。
それに、決めたんだし。
私はレンを待ってるって。
…うん。 辛気臭いのはイヤ。 でも、今盛り上がる気分になれないのも事実。
このままベッドの華になるなんてごめんだけど、もう少しなにも考えずに白い壁を眺める事にした。
…てゆうかなにも考えないのは逆に無理があるよね。 ちょっとした疑問なんだけど数字も数えちゃいかんのかね。 いや、ルールは私なんだけどさ。
カーテンに隠された窓を見る。
“捨てないで”
不意に蘇る…さっきまで倒れてたレン、ソフトのレン、…それに私を力の限り抱きしめたレン。
「ちょっと…キツかったかな、あれは…」
一気に事が起きすぎた。
「…そうだよね、ごめんね…」
零れていた独り言にさっきまで居なかったお兄ちゃんが答えた。 扉の真ん前に座るお兄ちゃんは顔を上げてくれない。
なんで、謝るの?
「私が謝ろうと思ってたのに」
「へ?なんで?」
ぱ、と顔を上げたお兄ちゃんは間抜け面と言うかアホ面。
本当雰囲気ってもんがないね。 まぁ、そのほうが気持ちいいけど。
「電話で私、お兄ちゃんにかなり罵ってたから…だから、ごめんなさい」
なにを言ったかまでは覚えてないけど、凄まじい勢いで言葉を投げてたと思う。 ぎゅう、と手元にあるシーツを握る。
本当に、本当に無力だと思い知らされた。 何かしたいけど何も思いつかない。
「そんな事より、普段の口の聞き方に反省してもらいたいけどね」
「うん、ヤダ」
私が口悪いのは今に始まったことじゃないって、言われてる気がするけど無視。
とりあえずお兄ちゃんに言いたい事は終わった。 これだけは絶対謝りたかったし。
「で?お兄ちゃんは何か用が在るんじゃないの?」
「あー…まぁ、用ってゆうか、なんてゆうか」
…何この歯切れの悪さ。 誰よ、コイツ。
「なによ。さっさと言わないとナイーブな乙女心は苛立ちを生むからね」
「○○って訳わかんないよね。あ…う、嘘です、言う、言うから!!」
なにもそこまで恐怖を顔で表現する事無いじゃない。 むしろお兄ちゃんの顔が怖いと思うんだけど。
「ほら、さっさとしないと私寝るからね」
なにより目が痛くて重い。 きっと腫れるんだろうなぁ、とか明日は学校行きたくないなぁとかそんな事が頭を巡った。
なんて思っても私には普段どおりの時間が流れる。
レンの時間は何処から止まってるんだろう…。
そんな事を考えてる私にお兄ちゃんは、
「今日泊まっていい?」
なんて言い出す。
あぁ、もうコイツは同じ血を感じずには居られない。
「その用件言うためだけにわざわざ部屋に来て、そんな面白みのカケラもない事にあんなにためらったのか!!」
「だってー、俺だけじゃないしこんな大勢だからやっぱり言いにくいでしょ?」
知らねぇよ! てゆうか私が拒否しようがなんだろうが泊まる気満々なのはみんなのさっきの大荷物見れば分かるから!!
あんたら一体なにしに来たのか具体的に説明できる人いますか、お兄ちゃん抜きで!
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