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いまだに猫を被るレンと、
何時になく真剣な顔をして語る兄。
そんな2人が横に並んで座ってるもんだからなんだか面白い。
なんだか私はこれからこの状態になれなくちゃいけない気がしてきた。
この2人の私にしか分からない温度差。
特にレンの方。
目を合わせたくない。
なんか異様な空気を漂わせているから。
「アンドロイド?だっけ。もしかして、お兄ちゃんが作ったとかないよね?」
そんなミラクルなことがあったら私は発狂するだろう。
こんな人と同じ血が流れていることに。
「俺は手伝っただけ」
「ふーん手伝っただけか。
……って確実にそれも凄いよね!?」
なんか実の兄妹じゃない気がしてきた。
だってなにこの差!!
「それでな、○○。俺から離れて暮らせる場所は○○の所しかないんだ。」
「そもそも、どうして離れて暮らさなくちゃいけないの?本当に人数が原因なわけ?」
お兄ちゃんの家は馬鹿でかいし、お金だって私よりか遥かに在る。
他に何かあるとしか考えられない。
……憶測だけど。
「人数だけが原因じゃないのは確かだ。でも、今はそれはいえない。博士との約束だから」
「は、か…せ?」
今日は滅多に聞かない単語ばかりをよく耳にする。
「○○さん。僕からもお願いします。その約束が何かは僕も分かりませんがマスターが望む事は僕が望む事でもあります。(本当はお前なんかと暮らしたくないけどな)」
「レン…!!リンと双子だけど全く性格ちがうな!リンはかなり毒吐くからなぁ…。」
「ココロの声がお兄ちゃんには聞こえないのね。うん。よく分かった。」
それに私はリンちゃんの方が断然いい子に思える。
こんな腹黒のたちの悪いレンよりかはね。
「…わかった。いいよ。」
「本当か!!ありが「そのかわり!お金。頂戴ね?毎月」…わかりました」
これでいいわ。
お金もらえるし。
レンは我慢すればいいだけ、空気よ空気。
「それじゃあレン。よく聞いて。」
「はい、マスター」
「今から○○がマスターだ。俺もレンのマスターだけどな。俺がいないときは○○がマスター。分かったか?」
「わかりました。これからお願いします、マスター○○さん」
ニコ、と微笑み手を差し出して来た。
このときのレンは不覚にもカッコイイと思ってしまった。
握り返した手は潰される勢いで握られたけどね。
痛い、かなり痛い。
「後は頼む。俺今から仕事だから」
嵐のように去る兄に少しばかり殺意が芽生えた瞬間。
それと同時にレンはお兄ちゃんには見せない顔に戻っていた。
所謂、猫かぶりモードオフだ。
本当恐ろしい子!!
お母さんはそんな子に育てた覚えはありません!!
「誰が猫かぶりだって?で?誰がお母さんだって?」
「いいいぃいぃやぁあ。べ、別に?てゆうかなんで聞」
「声に出してたから」
クスって初めてまともな笑顔を見た。
□猫のお面□
(顔、赤いけど熱?) (わざと聞いてるの?追い出すよ) (ふーん?お金いいの?) (あ、忘れてた) (実は義兄妹なんじゃない?) (うるさいわ)
20081007
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