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何よこれ。
こんなの私知らない。
学校の何の教科でだってこんなの習った事ないよ。
何よ。 別に清々するじゃん。 いつも五月蝿くて、憎たらしくて、マセてて、訳分かんなくて。 レンが来てから私のどこかに必ず居る馬鹿レン。
そうじゃん。 これで静かになるなら平和な日々が戻ってくるんだから。
…でもなんか納得できない。
モヤモヤが身体に残ったままなのはイヤ。
だいたいなんでいきなりキスされて、そのあとすぐに私が避けられなくちゃ行けないのかが不思議だし。
なんか今なんで?って気持ちが腹立つに変るんだよね。 最近の若者はすぐ切れるからやだわ、なんて考えてた私もその若者だったりする。
明日のメニューは決まった。
「牛乳と煮干だよコノヤロー!!!!」
バターン!!と勢い良く扉を開け真っ暗中居るレンをひっ捕まえる。
「ちょ、何今の」
「あれ?アレは秘密。でね、私今猛烈に腹が立ってるの。ね、分かる?」
「は?」
「わかんないよね、レンだから。とりあえず聞くけどあのキスは何?慰めのキスなの?それとも哀れみのキスなの?それでも腹立ったけど他にもあんの。分かる?」
「え、ちょ、それ以上、」
「わかんないよね、馬鹿レンだから。今まで執拗に私のこと構ってたくせになんでさっき手払い除けたの?あ、私の事嫌いなんでしょ。それならそう言」
「あーもー、黙れよ」
半興奮気味の私の耳に低い声が届いた。 ピタ、と止まってしまった私に待ち抱えていたのはレンのベッドと暗くて良く見えないレンのシルエット。
…なんなのよ。 声、出ない。 なんでよ、なんでこうなんのよ。
「よく聞け。俺は○○の事嫌いじゃない。そんなヤツにキスなんてしない。あと、手払ったのは…近づくなって意味で、」
「ほら、避けてるんじゃない!!私、わた、し」
「違う!!」
ビクって肩が揺れた。 レンが一瞬怖く感じたから? それともこの状況が怖いから?
持ち上げられた両腕に、軽く口づけられた。
「…話聞けよ。俺はこんな事になるから近づいて欲しくなかったんだ」
「なに言っ…!…ふ、…!!」
生ぬるいモノが唇をなぞって深く入り込む。 キスだってまともにしたことないのに… これは...意識が飛びそう。
自分のじゃない熱が口内をかき乱す。
しばらくしてから離れたかと思うと、月に照らされて糸が輝いてた。
「…はっ、こ、なるって分かるんだよ。…理性、バナナなんかじゃ持たなくなってんだ…。その上○○にキスまでして、抑えられるはずが無い…!!それじゃなくても、
○○が、好きなのに…!!」
そう聞こえた途端に上からぎゅう、と抱きしめられた。
す、き…?
私のこと好き?
レンが…?
「嘘だ…」
言葉にそう出してても、心のなかでは嘘であって欲しくないなんて願う。
「…嘘だと思ってんのか?」
「信じられない…」
「じゃあ身体全部で感じるか?」
暗闇なのに、ニヤリとした笑いが汲み取れる私って凄いよね。 多分レンは全部分かってるんだ。
私でも知らなかった、いつのまにかレンを必要としてたこととか。
「…好き」
「な、え、ちょ、何?」
「なによそのうろたえかたは」
電気付いてたらよかったのに…。 そしたら面白いレンが見られたかも知れない。
「もう1回言って」
「イヤ」
平然と聞こえたかも知れないけどね、あれすっげ恥ずかしいから!! 告白なんてしたの人生初なんだからね? これ、貴重よ貴重。 自分が今一番ありえないけど。
「…ふーん」
あれ…? 脅してこないなんて珍しい。
プチ、プチ、プチ。
「無言の圧力じゃないよねソレ!!や、やめて服脱がすなァァァァァァ!!」
「あぁ…言う気になった?」
「恥ずかしいからイヤ!!とりあえず離して下さい」
外された制服の隙間から冷たい風が入って来てる気がして身震いがするの!! 寒い、寒い、本当寒いっ!!
「…無理。…○○今すぐ逃げてバナナ取ってくるか、このまま俺に食わ、」
「取ってきますからァァァァァァァァァァ!!」
緩んだ手を解いて冷蔵庫の中のバナナをひっつかまえに、暗闇で眩む瞳とおぼつかない足を武器に私はリビングへと向かった。
□不安定な日□
(せっかくだから一緒に風呂入るか) (…背中なら洗ってあげてもいいけど) (は?え、い、今なんて) (やっぱやめとく) (なんか今日の○○いつもと違うな) (レンの方が違うと思う) (あー色々あったから)
next=act28.
これこそ甘...濃いですか?(聞くな 甘書けないよ!!← なんだか裏切りたい気持ちもあったけど出来ませんでした☆(文才の問題ww
20090222
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