蘭拓
2013/04/03 21:30




たまに距離を感じる。


いや、本当はたまになんかじゃない。
気づいてないふりをしてるだけ、気にしてないふりをしてるだけ。見えないふり、知らんぷり。


だっていつも、神童は肩が触れる程の距離に居るから。


たとえそれが、俺が勝手に歩み寄っているだけの、一方的な行為であり好意だとしても。
受け入れてくれてる、俺が隣に居て良いって、神童も想ってくれてる。当たり前のことなんだって、周囲も認めてくれてる。
そんな願望羨望欲望何もかも。いつか届く希望だと、無理に信じて。
真実にしたくて、ずっとそばに居たくて。


なぁ、神童。
もしも、いつか、俺が隣に居なくなったら。
お前は俺を探しに来てくれるか?
気づいてくれるか?
本当はいつも醜い嫉妬でいっぱいで全然かっこよくない俺のこと、それでも隣に居て良いんだって、霧野蘭丸が良いって想ってくれるか?


探しに来て、神童。
追いかけるのに勝手に疲れて、勝手に立ち止まって、勝手にお前を見失って。
でも俺、やっぱり神童じゃないと嫌なんだ。神童だけが良いんだ。


俺を見つけてよ、神童。
そしたら俺、背中じゃなくてお前の横顔を見つめられるように、また頑張れるから。


頑張りたいんだ。ずっとそばに居たいんだ。
だから、勇気と約束を、俺に何度でも立ち上がれる力をちょうだい。


「......こんなところに居たのか、霧野......」

「神童......」

「長い間待たせて悪かった。でも何も、こんなみつけにくい所に居なくても......」

「ははっ、先に帰ったと思ったか?」

「思わなかった」

「え、」

「......だって霧野はいつも、俺を待っててくれる。霧野は俺を置いていかない。そうだろう?」


何言ってるんだよ、神童。逆だよ。
待っているのはいつも、神童だろ?

なかなか追いつけない俺を、見放さないで待っててくれるのは、信じてくれるのはいつも神童だよ。置いていかれるのは神童じゃない、俺だよ。

なのになんで、そんな優しい瞳で、安心したように笑うんだよ。


好きだ。ずっとずっと、神童が好きだ。


「……かくれんぼ、しないか?」

「…遠慮する。もう充分だろ」

「何だ、残念」

「………霧野の考えてる事なら、大体分かるよ」

「…本当に?」

「何年一緒に居ると思ってるんだ」


ほら、帰ろう。そう言って手を差し伸べる神童は、めずらしく積極的で。何年か前までの、いつでも俺が手を引いて歩いてきた泣き虫たっくんとは随分印象が違う。


あぁ、やっぱり分かってるんだな。
俺が弱ってる時、神童はいつもよりずっと凛々しく力強く、俺を引っ張ってくれる。
安心させてくれるんだ。
探しに来て欲しいだなんて、願わなくても。神童の気持ちを試すようなことをしなくても。神童はちゃんと、俺を見て俺を信じて俺を想ってくれるから。


だからどんなに距離があっても、俺は神童のそばに居られるんだ。


「久しぶりに手繋いで帰ろ、神童」

「……はいはい。今日だけだぞ」


きっと必ず探しに来て、きっと必ず俺を見つけて。
そしたらもう、二度と離さない。ずっと、いつまでもお前のそばに居るから。


(かくれんぼしましょ)
(不思議な森の中)
(ずっと君を待ってるの)


****************


昨日電車の中で書いてたネタを完成させたんですけど…肝心のオチ忘れました(^q^)
なのでものすごくテキトー(笑)
オチが迷子ですかくれんぼしてやがりますorz
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