僕の生活は、
普通に戻った。
ラミに縛られた生活は、
終わった。
そう思ったのにな。


「やあ、リリー。
 元気かい?」
「本当にあなたは、
 ゴキブリのようね。」


ジェームズに迫られる
リリーの隣で微笑む彼女に、
僕はまた目を奪われる。


そしてそれに合わせて、
笑ってしまう僕もいる。


「ラミ、何かあった?
 いつもと違う。」


目敏い僕の親友の発言に、
ラミはビクッと
肩を揺らした。
僕はそんな彼女に、
くすりと笑ってしまった。


「え、べ、別にないよ?」


彼女は静かに
ソファーに座り直した。
照れてるようだった。
可愛いなあ、
なんて僕の心を刺激する。


「確かに少し、変よね。
 昨日もずっと
 そわそわしていたし。」
「わーっ!
 リリー!」


顔を真っ赤にして、
隣の友人の口を
必死に塞ごうとした。
再び可愛いなあ、
って思った。


「っ、」


赤面したラミの目が、
ちらりとこちらを
向いた気がした。
一瞬だけ視線が絡まる。
彼女の赤らみに、
僕の心臓は活発化する。


ラミが僕の気持ちに
応えてくれなくても、
それで少しでも彼女が
僕のことを意識してくれるなら
僕のやったことは
正しかったんじゃないか、
って思えるんだ。


「何があったんだい
 ラミ?」


ジェームズの問い掛けに
ラミは手と頭を
同時に振った。
相当困惑しているようだ。
そしてまた彼女の視線は、
僕の視線と絡まった。


「リーマス?
 幸せそうだね?」


ジェームズの言葉に、
僕は緩んだ口元を
手で隠した。
さすがジェームズ、
鋭いなあ。

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