ビルは見たことが
ないようなくらい
真剣な眼差しを
私に向けていた。


「ごめん。」


グリフィンドール寮の
前の廊下でビルは、
深く深く頭を下げた。


「不安だった?
 本当にごめん。」
「それは・・・、
 何に対してのごめん?」


私が問い掛けると、
ビルは勢いよく
頭を上げた。


「彼女がいたのに、
 私にキスしてごめん?」


もうやだ。


最初の願いは、
ビルと目が合いますように。
次の願いは、
ビルが私のことを
知ってくれますように。
その次は、
喋れますように。
名前を覚えてくれますように。
笑いかけてくれますように。


私を好きになって
くれますように。


「ラミ、
 違うよ。
 ごめん、
 違うんだよ。」


うん知ってるよ。
さっきセレーナに聞いたもん。
でもビルから、
ビルの口から聞きたいの。


「俺に彼女はいないよ。
 あの子とは付き合ってない。」


どんどん自分が
欲張りになってる。
どんどん自分が
醜くくなってる。


「・・・っ、ごめ、」
「なんでラミが泣くの?
 俺が悪いんだよ。」


ビルは私の頭に
優しく手をのせた。
温もりが伝わってきた。

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