すると再びビルは私の髪に
指を這わせた。
手つきが少し
いやらしいなんて思ったけど
絶対口にはしない。


「ラミ。」


そんな甘い声で
私の名前を呼ばないで。
心臓が早鐘をうった。
髪をいじるビルの指先から
熱が伝わる気がして、
なんだか切なくなった。


ビル、
本当に私のこと、
好きなのかな?


「顔、赤いね。」


今度は頬に手を延ばした。
確実に肌に伝わる熱。
心臓はもう、
使い物にならない。


「緊張してる?」
「べ、勉強しろって言ったの、
 ビルじゃない。」
「うん。」


ビルは口元を緩ませて
笑っていた。
余裕そう。
私はこんなにも
緊張してるのに。
ずっと好きだったもの。
突然慣れるはずがない。


「ビルは・・・ずるい。」


私がビルを想う気持ちは
そんなに軽くないの。


「ビル、
 私のこと・・・
 本当は好きじゃないよね?」


ビルは目を見開いていた。
私がこんなことを言うとは
思いもしなかったんだろう。


本当はこんなこと
言いたくなかった。


「女子寮の監督生と、
 付き合ってるんだよね?」


ビルは言葉を失って、
何も言ってくれなかった。

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