ビルはテーブルの縁に
寄り掛かって、
本を読んでいた。
眩しいくらいに
様になっていて、
かっこよかった。
テーブルの上には魔法史の
教科書やら資料やらが
積み重なっていた。


それを見て顔を真っ青にした
私に気づいたのか、
ビルは笑っていた。


「遅かったね。
 浮気でもしてた?」


ドキッとした。
ビルにそんなこと言える権利が
あるのだろうか。
でも嬉しいと
思ってしまうのは
長年の慣れというものだろう。


「し、してない。」
「あ、嘘っぽい。」


ビルはまだ笑っている。
でもその場から動けない私に
笑顔で手招きした。
私は下を向いて
赤いであろう顔を隠しながら
ビルの立ってる隣に座った。
するとビルも、
私の隣の椅子に腰掛けた。


「ビルが、
 言えることじゃないよね。」
「え?」


小さな声は彼には
届かないらしい。
そりゃそうだ。


「お、思ったんだけどね!
 魔法史って、
 教わることないよね。
 全部暗記すれば
 済むんだから。」


だから別にビルがいなくても、
っていう意味で言ったのに。
彼はそれを知ってか知らずか
普通に返した。


「うん。
 だからマクゴナガル先生が
 無理矢理にでも
 覚えさせろって。
 ラミは必死に
 覚えるんだよ?
 それだけ。
 俺は隣で監督するの。」

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