その後ビルは私を
湖の辺まで連れて行った。
掴んでいたビルの手は、
今度は私の手と
しっかり繋がれていた。


信じられない。
この状況が。
夢みたいに
足がふわふわしている。


「本当はビルは、
 何の用だったの?」
「ああ、
 実はマクゴナガル先生に
 頼まれて、
 ラミの補習の
 先生をすることに
 なったんだ。」
「補習っ!?」


私は飛び掛かる勢いで
ビルに尋ねた。


「この間の
 魔法史のテストが
 とんでもなかったらしいね。」

笑いながら言う彼に
殺意を抱いたのは
言うまでもない。
この間の試験は
本当に悪かった。
普通に学年最下位だし。
補習も覚悟はしていたけど。


「俺が監督生でよかったね。」


ニヤリと口元を
上げているビルは
やっぱりかっこよくて、
顔から火が出るかと思った。


「・・・、うん。」


本当によかった。
二人きりで勉強だなんて
夢みたい。


「俺も、
 補習の生徒が
 ラミでよかったよ。」


きゅーん!
ってなりますわ。
ごめんなさい、
ビル大好きです。


「そろそろ戻らないと。
 すぐ終わる話だったのに、
 長引いちゃったね。」


ビルって結構意地悪だ。
私が恥ずかしがるの、
分かってるのに。


ビルは校舎に戻る前に、
最後のキスをしてくれた。
一瞬だけ触れて、
それで戻って行った。

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