甘い声で囁いて、
そうやって何人もの女を
落としてきたんでしょ?


でも私に抵抗する力はなくて、
小さく小さく
口を開いた。


「・・・好き、」


潰れた蛙のような声だった。
蛇に睨まれて、
潰れてしまったみたい。


「ラミ、
 目開けてよ。
 こっちを見て?」


ビルは本当にずるいと思う。
そんな甘い声で囁かれたら、
言うことを聞かない訳には
いかないじゃない。


私はゆっくり目を開け、
ビルを視界に収めた。


「っ!」


その瞬間、
ビルは私との距離を
一気に縮め、
唇を重ねてきた。
ビルに腕を掴まれ、
逆の手は私の後頭部へ
添えられた。


「っ、ビル?!」


離れた瞬間に声を出したが、
本当に一瞬。
すぐに再び重ねられていた。
微かにビルの吐息がかかり、
心臓が跳ね上がった。


もうなんだか
訳がわからない。


私は委ねるように
瞼を下ろした。
するとビルは
唇の隙間から長い舌を
ねじ込んできた。
一瞬戸惑ったけど、
私がビルを
拒否するはずがない。


「ふ、ぁ・・・ん、」


自分の口内を
ビルの舌がはい回っていると
考えると、
いてもたっても
いられなくなる。

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