「でも、
 ラミに何の用だ?」
「用?
 べつにないよ。」


ビルは一度ちらりと
私を見てから、
(目、合った!)
またチャーリーに
向き直った。


「じゃあちょっと、
 ラミ借りるよ。」
「ああ、
 どうぞどうぞ。」


ええ!?


私が言葉を発する前に、
ビルは私の腕を
しっかり掴んで、
歩き出した。


「えっ?」
「ばいばい、
 ラミ。」


後ろを振り返ると
チャーリーが笑顔で
手を振っていた。


顔を前に向けると、
私の腕を引っ張りながら
先を歩くビルの背中。


「ど、どうしたの?」
「ここで言っていいの?」


どうやらダメらしい。
ということは、
この間の話だ。
私が勢いで
言ってしまったこと。


やっぱりあれは、
ちゃんとビルの耳に
届いていたらしい。


私は抵抗もせず、
一言も喋らずに
ビルの後ろを
早足でついて行った。

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