湖の辺のブナの木の下に、
今日彼女を呼び出した。


何故かって?
理由は一つしかない。
僕の気持ちを伝えるだけだ。


木に寄り掛かって、
綺麗な髪を風にそよがせて、
読書に夢中になる彼女に、
再び目を奪われた。


一種の呪いかと思った。
目を奪われ、
動悸がし、
温度を上げる。
僕の一日一日を支配し、
淡い期待を胸に抱き、
僕は今日も君を見つめた。


草を踏む音に顔を上げ、
その射るような瞳で僕を見る。
君の視界に僕が入り込む。


ふわりと笑う彼女が欲しいと、
何度願ったことか。


たとえば彼女が、
全く僕に気がなかったとして。
たとえば彼女には、
愛する男がいて。
たとえば彼女の瞳に、
僕が永遠に映らなかったとしても


僕は、彼女を愛すよ。

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