ビルは黙々と
廊下を歩いた。
生徒と数人
すれ違ったけど、
まだみんな大広間に
いるみたいで
廊下は結構静かだった。


「ビル?」
「ん?」


声を掛ければ、
彼は普通に笑顔を
向けてくれた。
思わず安堵の息がもれる。
そして素早く
話題の種を見つける。


「セレーナ、
 何の用だって?」


ビルは一度
黙り込んでしまった。
え?
いけないこと聞いた?


「セレーナはルカンと
 二人の世界さ。
 戻るのがあまりに
 遅いと思って
 ラミを迎えに来たんだ。
 邪魔だった?」


私は思わず首を
勢いよく横に振って。
首がもげそうになった。
そんな時に目の前を
ほとんど首無しニックが
横切るなんて、
なんてタイミングが
いいんだろう。


「そう。
 それなら良かったよ。」


心臓が胸を突き破って
姿を現すかと思った。
だってビルは、
誰かに言われたからではなく
自分の意志で
私を迎えに来てくれた、
ってことだから。


どうしよう。
嬉しい・・・。

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