「ラミ、」


名前を呼ばれて振り向くと、
この間私に告白をしてくれた
男の子が立っていた。


「あ・・・。」


多分一人でいる時を
見計らったんだろう。
隣にはセレーナも、
ビルもいなかったから。
でも仕方ない。
いつかは決着をつけなきゃ、
って思っていたから。


「あのね!
 あなたの気持ちは
 とても嬉しかった。
 でも・・・
 好きな人がいるんです。」


頭を下げた。
深く深く。


「ビル・ウィーズリー?」


誰かを言うつもりはない。
頷くつもりもない。


「違うよ。」


そう。
違うって言いたかった。
でも口から出る前に、
ビルが答えていた。


あの日みたいに
廊下から現れた彼は、
ヒーローみたいだった。
どうしてここに
いるんだろう?
今はまだみんな
大広間で食事中なのに。


「セレーナが呼んでたから。」


ビルは私に向かって、
優しく微笑んだ。
私は二人を交互に見て、
戸惑いを感じた。
男の子が明らかに
ビルに対して
嫌悪感を抱いていたから。
ビルは相変わらず
ニコニコしていたけど、
多分ビルは監督生だから
男の子は何も
言えないんだろう。


「行こうか。」


しばらく黙っていたけど、
ついにビルが口を開いた。
私の方を向いて微笑んでから、
大広間への廊下を
戻り始めた。
私も男の子に再び
頭を下げてから、
ビルの後ろを追った。

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