やっと口の中の物を
全て飲み込み、
口を開いた。


「セレーナ、だれ?」
「ボーイフレンド。」


しれっという友人に、
私は思わず立ち上がった。


「うそっ!?
 そんな話、
 聞いてないよ!」
「言ってないもん。」
「なんでえっ!?」
「うるさい。
 とりあえず座って。」


セレーナは私を
無理矢理座らせた。
セレーナの隣で
ボーイフレンドだと
言われた男の子は
笑っていた。


「あのねえ、
 いちいち大きな声
 出さないで。」
「ごめん・・・。」
「ラミに言わなかったのは、
 ラミが私に
 好きな人のことを
 話してくれなかったからよ。
 昨日やっと話してくれたから
 今日言おうと思ったの。」


早口で言うセレーナに
私は口をあんぐりと開けた。
知らなかった。
いつも一緒にいたのに、
全然気付かなかった。


「さすがに気付くと
 思ったけど、
 まさか本当に
 気付かなかったなんて。」
「気付かないよ・・・」
「ラミは自分のことで
 精一杯だからね。」


確かにそうだったかもしれない。
友達のこと、
何も気付かなかった。
少なからずショックを
受けている私は、
更なる衝撃に襲われる。

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