朝を迎えるのは、
本当に恐かった。
昨日の出来事が
夢だったんじゃないかって。


「夢?
 夢。
 んー・・・夢?」


ベッドの中で
上半身だけ起こして
ぶつぶつ言ってる私の頭は
セレーナによって叩かれた。


「痛いよう。」
「いつまでも
 寝ぼけてんじゃないわよ。
 大広間行くよ。」


相変わらず厳しいなあ、
って思いながら
ベッドを降りた。
夢か現実か、
まだ分からなかった。


夢にしては随分
細かいところまで
覚えてる。
現実にしては随分
現実離れした出来事だった。


「夢だったのかもね。」


朝食につきながら、
セレーナは今だに
悩んでいる私に
辛辣なお言葉をくださった。
夢じゃない、
って思いたかったけど。
本当に夢だったら
自分の想像力を
褒めたたえるよ。


コーンフレークに
手を延ばした時、
後ろからセレーナを
呼ぶ声がした。
一緒になって振り向くと、
知らない男の子がいた。


「おはようルカン。」
「隣いいかい?」
「どうぞ。」


だれ?
って聞きたかったけど、
口にはたくさんの
コーンフレークが
入っていたから、
必死に口を動かした。

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