初めて彼に会ったのは、
多分二年生の夏。
私は就寝時間が過ぎた後、
度々ベッドから抜け出して
校庭に走った。
夏は星が綺麗だから。
ねっころがって
星を観察するのが
とても好きだった。


「ヘンリー、
 だよね?」


いつの日か、
男の子が来たんだ。
赤い髪が目立つ
イケメンって噂の子。
確かにイケメンだ。


「うん。
 何?」
「何って・・・
 就寝時間過ぎてるよ?」
「知ってるよ。」


男の子は少し息が
切れていた。
走って来たのかな?
どうして?


「何してるの?」
「星見てるの。
 凄く綺麗だよ。」


そう言うと、
男の子も空を仰いだ。


「本当だ。」
「来年からは天文学があるから
 凄く楽しみなの。」
「天文学かあ。
 僕迷ってたんだよ。
 僕も天文学にしようかな。」


小さな声で呟いた男の子に、
私は体を起こした。


「そうだ。
 君が寮から抜け出したこと、
 監督生にばれてるよ。
 マクゴナガル先生にも。」
「ええっ?」
「寮に戻ろう。」


男の子は私の手をとり、
走り出した。


寮に着いた後男の子が、
道に迷ったとかなんとか
私の言い訳を考えてくれて
あまり怒られずに済んだ。


「ありがとう!」


そう言うと、
男の子は笑顔で
手を振ってくれた。
でも彼の名前も
知らないって事に気付き、
思わず引き止めた。


「あのっ!
 名前、聞いてもいいですか?」
「ああ。
 僕はビル・ウィーズリー。
 よろしくね。」


そう言って笑った顔が
脳裏に焼き付いて
離れそうになかった。

[ 30/59 ]

[] []