何分たったか分からない。
分からないけど
階段の上から
誰もいない談話室を
見つめ続けた。
ビルを待ってる訳じゃ
ないけど、
足が床に張り付いて
剥がれなかった。


「その阿呆面、
 やめた方がいいよ。」


上から降ってきた声に、
顔を上げると
友人のセレーナがいた。
同室で一番の友人。


「セレーナ!」
「うるさい、
 声が大きい。
 早く部屋戻るよ。」


呆れたように言う彼女の腕に、
私は抱き着いた。


「何なのよ。」
「聞きたいっ?」
「部屋に行ってからね。」


セレーナは腕に
引っ付いた私を
引きずりながら言った。


「どうしよう!」
「どうもしない。」
「何があったか
 聞きたいっ?」
「あー、
 いいや。」
「セレーナ〜!」


セレーナは無理矢理
私を部屋に押し込み、
面倒くさそうに
適当にあしらった。


「酷いよ!」
「二人起きちゃうから
 静かにして。」


私はベッドで寝ている
ルームメイトの存在に気付き
息を飲んだ。
そんな私に
更に呆れたのか
セレーナは私の
頭を小突いた。


「で?
 何があったの?」
「聞きたい?」
「言いたくないなら
 別にいいよ。」
「言いたいです!
 非常に言いたいで
 ございます。」
「・・・」


普通にスルーした友人に
結構ショックを受けたけど
私はさっきの出来事を
最初から話しはじめた。

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