寮までの道程は、
十センチ?
って思うくらい
短かった。
ウィーズリーが太った婦人に
合言葉を言い渡し、
二人で談話室に入った。


久しぶりに来た気がした。
本当は数時間ぶりだったけど。
でも長い長い旅路だった。


「じゃあおやすみ。
 すぐ寝るんだよ。」


同い年なのに
妹のように扱う彼に
少し笑いがこぼれた。


「おやすみ、
 ウィーズリー。」


今日はいい一日だった。
そう思いながら
寮への階段に足を
載せた時、
手が引っ張られて
バランスを崩しそうになった。


「え?」


振り返るとウィーズリーの
赤い髪が見えた。
ああ、
引き止めたのは
ウィーズリーか。


「・・・え?」


びっくりを通り越して
驚愕していると、
ウィーズリーは私の手を
そっと離した。


「俺、弟が五人いるんだ。
 妹が一人。」
「え?
 う、うん。」


実はその話は
知っていた。
友人から教えてもらった。


「ホグワーツには、
 次男と三男がいる。
 ウィーズリーって
 いっぱいいるんだよ。
 ビルって呼んで。」

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