「・・・あの、好き、です。」


玄関ホールに響く声。
夜の十一時に
玄関ホールに来てほしい、
という手紙を
受け取ってからは、
覚悟はしていたつもり。
だけどまさか本当に
告白されるなんて
思わなかった。


どうしよう。
気持ちは嬉しいけど。
でも私には好きな人がいる。
誰にも言ってない事だから
それを目の前の彼に
言おうとは思わない。
どうやって断れば
いいんだろう。


いい考えが浮かばなくて
眉間に皺を寄せてしまった。
申し訳ない。
でも私は彼が好き。
ビル・ウィーズリーが。


「お取り込み中のところ
 悪いけど、」


ヒーローみたい、
って思った。
本当にいいタイミングで
やって来るのね、
ヒーローって。


一瞬驚いたけど、
監督生としての責務を
真っ当に果たして
いるのだと思うと、
顔が綻んだ。


「グリフィンドール寮の
 門限はとっくに
 過ぎてるんだ。
 続きは明日にしてくれ。」


きっと私のことなんて
知らないけど、
声をかけてくれたのも
監督生だからって
理由だけだけど、
凄く嬉しいの。


「ヘンリー、
 寮に帰るよ。」


ウィーズリーの少し
威圧的な声に、
私は大きく頷いて
彼の所に駆け寄った。

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