イライラの絶頂だ。
僕はラミの身体を
窓に押し付け、
同時に僕の唇も
気持ちと一緒に押し付けた。
一瞬ラミは
息を飲んだ。


多分僕の神経は今
全部唇にあるだろう。


もう終わりだ。
嫌われた。


でも柔らかくて、
凄く嬉しかった。


「いい加減に
 してくれないか?」


唇を離し、
僕は冷たく言い放った。


大好きだったラミと
ついにキスを
交わしてしまった。
同意のもとじゃ
なかったのに。


ラミは顔に
困惑を浮かべた。
でも赤みを帯びているのは
確実だ。


「もう限界なんだよ。
 君は僕の気持ちには
 応えられない。
 でも何かしら
 僕に絡んでくるよね?」


ラミは僕の視線から
逃れるために
顔を俯かせた。


「思わせ振りは、
 やめてくれないかな?」


ニヤリと笑ってあげると
ラミは顔を上げた。
明らかに傷付いた
表情を見せていた。
眉間には微かに
皺が寄っていたし。


押さえ付けたラミの手が
ぴくりと動いた。


「思わせ振りじゃ…
 ないもん。」


聞き間違いじゃない。
ラミは今、
確実にそう言った。

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