テーブルに戻ろうとした。
もちろん誰もいない。
こんなに空いているのに
同じテーブルを
使おうとする人なんて
普通はいないから。


でも僕の確保した
本棚に挟まれた空間には、
ラミがいた。


テーブルに置いてある
僕の教科書や羊皮紙の束を
覗き込んでいた。



「なんでまた…。」


大きな溜め息をつくと、
彼女は驚いて
体が跳ね上がった。


「何か用かい?」


冷たく問い掛け、
自分の椅子に座った。
ラミは傍らに
立っていた。
さっきレイブンクローの男に
取ってもらった本を
胸に抱きしめながら。


でもその本の表紙を見ると、
目が飛び出るかと思った。


「それ…?」


僕の視線に気付き、
ラミは口を開いた。


「あ、うん。
 昨日の授業で
 課題出されちゃって。」


困ったように、
ラミは笑った。


だってその本、
ありえないだろ?
そもそもそんなところ
授業でやってない。


「……魔法薬学の課題?」


ジェームズもシリウスも
ピーターもエバンズも
知らないと言った課題の内容を
彼女は知ってるのか?


「あー…うん。
 昨日授業で
 しくじっちゃって。
 私だけ課題出されちゃった。」


まさか。
ラミだけ?
脱狼薬の課題を?

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