古びた部屋の窓から、
朝日が漏れてきた。
ベッドにねっころがり、
僕は溜め息をついた。


寮に戻りたくなかった。
ラミに会いたくない。
こんなことを思ったのは
初めてだ。
多分今ラミに会ったら
僕は何をしてしまうんだろう。


ラミの気になる人
って誰なんだろう。


ここにいても
そんなくだらないことを
考えてしまうか
昼前に寮に戻った。
三人は僕に会うなり
頭を下げた。


「ごめん!
 悪戯の準備が
 終わらなくて。」


満月の夜を動物になって
一緒に過ごさなかったことを
謝っているのだろう。


「ああ、大丈夫だよ。
 全然気にしてないよ。」


むしろ僕は
僕のために動物もどきに
なってくれたみんなに
感謝してるんだ。


「それより昨日
 魔法薬学の課題が
 出たんだ。
 俺達はやらないけどな。
 リーマスは
 やるんだろ?」


今は勉強で嫌なことを
忘れる他ないようだ。
そもそも僕は
三人と違って
毎回ちゃんと課題をこなす。


「もちろん。
 今度の課題は何だ?」
「僕達が知ってるとでも?」


当然のように言う
ジェームズに、
口が塞がらない。
そしてシリウスが
言葉を続けた。


「課題が出たことは
 確かなんだ。
 でも内容は
 俺達には分からない。」


使えないなあ、
と内心思ったが
顔に出ていたらしい。
シリウスに頭を
小突かれた。


「ノートは誰か
 貸してくれるのかい?」
「ラミに借りなかった?」
「ラミに借りたのは
 魔法史のノート。
 僕が今必要なのは
 魔法薬学のノート。
 分かるかい?」


そう言うと、
シリウスが小さく
舌打ちをしたのが
聞こえた。

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