だんだん良い方に
向かっていることが
僕でも分かった。
嫌われるかもしれないと
思いながらとった行動も
効果はあったらしい。


でも僕の体調は
どんどん悪くなった。
満月の日は一日中
医務室にこもっていた。
たびたび友人達が
来てくれたが、
ラミは来なかった。
来なくて当たり前なのに。


夜になり僕は
叫びの屋敷に向かうため
校舎から出ようとした。
具合が悪くて最上級に
機嫌が悪かったのに。
嫌なところに
遭遇したようだ。
玄関ホールには
ラミがいた。
一緒にいたのは
あのレイブンクローの男。
なんだか深刻そうな
顔をしていた。


「気持ちは嬉しいけど…
 恋人としては見れません。
 ごめんなさい。」


ついこの間自分に
起きたような状況が
そこにはあった。
レイブンクローの男は
ラミに告白したようだ。


「……ボーイフレンドが
 いるのかい?」


ラミは顔を俯かせ
頭を横に振った。
そして言葉を続ける。


「でも…
 気になる人が、います。」


何かが胃に落ちた気がした。
足も重くなったし
信じがたい発言に
目眩も感じた。


「それは…
 リーマス・ルーピン?」


沈黙が流れた。
彼の問い掛けに、
僕の動悸は激しさを増した。


まさか。
そんな嬉しいことが
あるはずがない。


「…違う。」


期待をさせながら、
彼女は否定の言葉を紡いだ。
そしてラミは
顔を上げた。
一瞬で目が合い、
驚きの表情を見せた。


僕は何も
聞かなかった振りをして
叫びの屋敷へ急いだ。

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