談話室の暖炉の炎が、
ゆらゆらと僕の目に映る。
頭を掻きむしりながら
溜め息をつく。


「なあ、あれ
 どうしたんだ?」


思い詰める僕を見て
シリウスが言った。
まあ僕は何かがあっても
こんなに思い詰める人間じゃ
ないからね。


「きっと、
 うまくいってないんだ。
 ラミと。」


ジェームズが
ニヤニヤしていたのが
僕の視界の隅に入った。
少し離れたソファーで
三人は僕に熱い視線を
送ってきた。


と言うか、
なんでジェームズが
それを知ってるんだ。


「え!なんだよ、ムーニー
 次はラミ狙いなのか?」
「き、聞こえちゃうよ」


シリウスと
ジェームズと
ピーターの
大きな声での
ひそひそ話が
談話室に響いた。
ついでに僕の
溜め息も響いた。


真夜中ということで、
他の寮生はいなかった。


「でもラミってこの間
 グリフィンドールの誰かに
 告白されたって…」
「そりゃ多分、
 ムーニーだ。」


ああ確かに僕だ。
でもなんでそれを
知ってるんだ。
再び溜め息が
口からこぼれる。


「レイブンクローの奴にも
 告白されたんだろ?」
「え!
 そうなのか?」


当然のように言う
シリウスに、
僕は勢いよく
立ち上がった。
三人の視線が
一気に僕に注がれた。


あんまり聞いていたく
なくなって、
僕は寮への階段を
無心で駆け上がった。

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