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最近、名前はB組で昼食を食べていない。いや、窓際で食べてる四人組のうち名前だけがいないんだ。野崎とかは変わらずそこで食ってる。


「丸井なんか機嫌悪い?」


今日は食堂で食べることにして、目の前のジャッカルが不安げに言った。やっぱこいついい奴だな。それに、比べて。


「ブンちゃん機嫌悪いナリー」


うっぜ。ペテン野郎ほんとうぜー。空気読めよ。つーかなんで当たり前のように仁王と比呂士がいんだよ。俺、今日ジャッカルと緊急会議開こうと思ってたのに。わざとらしく溜め息をつくと、比呂士が眼鏡をくいっと押し上げた。そして仁王が余計なことを言った。


「そーいや、赤也こねえな。」


びくりと肩が揺れた気がした。その名前、聞きたくねえ。すると仁王が隣からニヤニヤした視線を送ってきていた。わざとか。ムカつく。


「切原君と言えば、最近図書委員の係を任されたとか。」
「え?赤也がか?」


ジャッカルの問い掛けに、仁王が再び爆弾発言を放った。


「赤也、最近図書室で密会をしてるらしいのう。苗字と。」


一番驚いていたのはジャッカルだった。噎せている。俺は、まあ、驚きはしたけど。でも、いや、なんで?なんで名前が赤也と一緒に?


「目撃情報もあるしのう。」
「お、おい丸井、いいのか?」


ジャッカルの焦った言葉に、俺は嫌みとしか思えないほど冷静に言った。


「…へえ、あいつ彼女いるくせに。」


嫉妬?まさか。俺が嫉妬するはずねえだろぃ。なんたって名前は幼なじみなんだし。つーか彼女っつったって、それらしいことなんてしてない。手さえ繋いだことはない。“彼氏”になる前と何も、本当に何一つ変わってない。俺は名前が好きじゃない。だからこんなにも冷静でいられるのか?


違う。全然冷静なんかじゃない。だって俺、今すっげーイラついてる。赤也といるって聞いて、ありえねーくらいイライラする。ムカつく。


「素直じゃないのう、ブン太は。」


仁王は何もかも分かったように言うけど。でも、本当に、俺は素直じゃない。


「……いいんですか、丸井君。」


赤也の元カノの話も、マネージャーの話も皆は知ってる。だからこそ心配なのだろう。俺と赤也の関係が。比呂士の眼鏡がキラリと光った時、俺は立ち上がった。


「いい訳ねえだろぃ!」


向かうは図書室。今すぐ名前に会いたい。


―――


2012.01.06


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