覚醒した脳とともに、蘇った昨晩の記憶。ジョージはほんのり赤みを帯びた頬を隠すように、手で覆った。


「ジョージ?」


昨日のおかしかったラミはアルコールの影響を受けていただけで、今のラミは普段と何等変わりない、少し強気な女の子だった。しかし昨晩の出来事が脳裏にこびりついたままである。ジョージは恐る恐る口を開いた。


「ラミ…さ、昨日のこと、覚えてる?」
「昨日、あなたにもらったジュースを飲んでから記憶がないわ。何か悪戯したのね?私はただクィディッチのお祝いしてあげたかっただけなのに…、酷いわ!」
「違うって。まさか厨房に酒がおいてあるとは思わないだろ?あれは俺が手を加える前に、既にアルコール入りでした!」


珍しく声を荒げて反論していた。するとラミは目を丸くし、その後すぐに破顔する。


「私の不注意だったわ。ごめんなさい。」
「いいって、いいって。」
「私、お酒弱いの。昨日何か変なことしなかった?」


ジョージはすぐに首を横に振った。思い出してほしいような、ほしくないような。とりあえずジョージとしては昨晩のこともあり、部屋に帰りたかった。


酔ったラミを外に連れ出したのは良かったが、アンジェリーナの言葉は嘘だった。全く酔いが冷めないラミを談話室に連れて帰ると、そこにはもう誰もいなかった。嵌められた、と気付き、ラミをソファーに下ろした後、おいて帰ることも出来ず、ラミの寝顔を見ながら彼自身もそのまま寝てしまった。体中痛かった。


「部屋戻れるよな?じゃあ、おやすみ。」


ジョージはラミの頭を軽く撫で、男子寮への階段を昇った。

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